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猫田小夜-47 [化け猫亭-05]

「小夜ちゃん、ただいま~。」
「お帰りなさい、随分ゆっくりでしたね。」
「色々聞いて来たよ、内緒にしておく必要なんて無かったぞ。」
「ご機嫌な沼田氏よ、私にも教えて下さらんかね。」
「檜田さん、たこ焼き買いに行ったら桜さんがいましてね、最近会えてなかったから嬉しくて。
お店の店長だそうで、オーナーはマスターなんですよ。」
「はは、それで小夜ちゃんはたこ焼きをおねだりしたのか。」
「純粋に美味しいのです、沼田さんは桜さんのファンですので喜んで頂こうかと。
少し待ってて下さいね…、沼田さん、たこ焼きは食べて来ましたか?」
「いや、小夜ちゃんが待ってたからな。」
「ならば…、適温になってますので、沼田さん、はい、あ~ん。」
「もぐもぐ、う~ん、うまい。」
「檜田さんもどうぞ。」
「はは…。」
「如何です?」
「たこ焼きは久しぶりに食べたが美味しいよ。」
「桜さんが研究を重ね、マスターが認めた味なのです。」
「そう言う事か。」
「たこ焼きは誰でも作れますが、商品となると話は違って来ますよね。」
「だろうな。」
「小夜ちゃんも関係してるの?」
「はい、店は桜さん達が随分前から準備しての開店でしたが、最近は私も提案させて頂いてます。」
「どんな感じで?」
「売り上げを増やしたいですから集客の作戦です。
この辺りは学生が多いので、元々女子学生をメインターゲットと考えお洒落な店に仕上げて有るのですが、そこに間違い探しの要素を加えて画像をネットに上げて貰っています。」
「間違い探し?」
「はい、毎日、店の外と中の二か所に変化を付けていまして、物を移動させるだけだったり、新たなお洒落アイテムを置いてみたり、お洒落な写真が撮影出来る様に配慮しながらです。
店の常連になりつつ有る方々も、変化を見つけて撮影し発信して下さる様になり、それを見て来店して下さる方も出始めています。」
「続けるのは大変じゃないのか?」
「店のスタッフにも好評で、案を出し合ってるそうです。
いずれは飽きられるかも知れましんが、しばらくは売り上げアップに繋がりそうです。」
「スタッフは学生?」
「はい、マスターと桜さんは、学生に良質なバイトの場を提供しつつ、店舗運営の実際を学んで貰う場として店を立ち上げました。
事前研修は、全員が店長になるつもりで受けて貰ったそうで、スタッフからは店の売り上げが自分達の給料に大きく影響する事を理解出来たと聞いています。」
「給料は幾らにしたのかな?」
「桜さん以外は千円スタート、実力や売り上げを見て昇給という制度を学生スタッフが決めたそうです、昇給は売り上げと二店舗目を見据えながら考えて行くそうです。」
「自分達の店という感覚でバイト出来るのは良い事だね。」
「ええ、スタッフの中には二店舗目を立ち上げるとしたら、というシミュレーションを始めている人達もいまして、活きた学習の場になっています。
こんな場をもっと多くの学生に、と考えているスタッフも。」
「さすがマスターだな、化け猫亭も半分趣味みたいだし。」
「オーナーとしての利益はあまり考えて無くて初期投資を回収出来れば良いそうですが、実社会の現実とのギャップが大き過ぎては学生スタッフにとってマイナス、そんな訳で利益が出たら二店舗目への投資だそうです。」
「私もバイト体験が就職してから役に立った、ブラックでないバイトの場が広がると良いね。」
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