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猫田小夜-43 [化け猫亭-05]

「小夜ちゃん有難う、お陰で、自分の問題点が見えて来たよ。」
「無理はなさらないで下さいね。」

「多田さん、たこ焼きご馳走様でした。」
「いえいえ、竹内さんのお口に合いましたか?」
「美味しかったね、今度は私が買って来るよ、で、宜しかったら一杯奢らせて貰えないか。」
「いえ、そんなつもりでは有りませんでしたし、今日から少し酒の量を減らそうかと思いまして。」
「そうか、残念だが無理強いは出来ないな。」
「竹内さんの会社、就職状況は如何です?」
「微妙だね…、人材は欲しいが社員のレベルは下げたくない、小夜ちゃん、誰でも良いという訳には行かないだろ。」
「中途採用はされているのですか?」
「随時採用してるよ、ずっと売り上げが伸びているから新卒だけでは追いつかないんだ。
ブラックな状態には絶対したくないからな。」
「やはりセクハラやパワハラの被害を受けて辞めて行く人の穴埋めも必要なのですね。」
「はは、辞めて貰うとしたらセクハラやパワハラをした側の人間だよ。
うちを辞めて行くのはお年寄りぐらい、定年も曖昧で、退職して頂く条件を示して有り、その条件に当てはまり出した人が自主的に退職日を決める形がほとんどなんだ。
社長は社員を大切にする人でね、この前一緒だったろ。
「お優しそうな方でした。」
「俺達取締役は彼の下、一丸となって社員にとっても魅力ある企業を目指しているよ。」
「羨ましいです、うちとは全然違って…。」
「そうか、マスターが最近やつれたと心配していたが、お悩みは仕事関係?」
「はい、今、小夜ちゃんからアドバイスを貰っていた所です、会社を立て直すか、転職するか。
竹内さんのお話を聞かせて頂いて、改めて考えて見ると会社の体質は簡単には変えられない、派閥に属さない課長ではとても無理そうです。」
「お若いのに課長ですか?」
「それが気に入らない人もいる訳です。」
「もし転職を決意したら、うちも候補に入れてくれないか?」
「はい、お願いします、何か小夜ちゃんとマスターに導かれている様ですが…。」
「化け猫亭の客というだけで一次試験合格ですよ、美人揃いのスタッフに失礼な発言をしたら入店出来なくなる店で何度も一緒になっている…、小夜ちゃんからは失礼な言葉を浴びせられているかも知れないが。」
「そんな事無いですよ、何時もさり気ない気配りをして貰っています。
小夜ちゃんに言われた通り、自分をすり減らす前に転職したいです、ここでお話しさせて頂いているのも何かの縁、宜しければ面接、お願いします。」
「では、人事に話を通しておくよ連絡先を交換しよう。」
「はい。」
「ところで、小夜ちゃんの目から見て多田さんはどんな人なの?」
「竹内さんと同じぐらい素敵な男性ですよ、社長さんも気に入って下さると思います。
先回お見えになった時はお仕事の話をして下さったのですが、とても分かり易くて参考になりました。」
「小夜ちゃんは誰でも褒めるからな…。」
「そんな事無いですよ、雇ってみればすぐ分かります。」
「はは、社長には、小夜ちゃんの推薦だと伝えておくよ。」
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