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猫田小夜-29 [化け猫亭-03]

「はは、小森は、今日も小夜ちゃんにやり込められているのか。」
「え~、そう言う早山課長はどうなんです?」
「まあ、宗教関係なく道徳心とかは大切だな、宗教は一つの伝統文化程度に考えているよ、神社のお祭りとか楽しいだろ。
私は今でも実家近くのお祭りを手伝ってるよ、休みを合わせてね。」
「へ~、早山さんは太鼓叩いたり笛を吹いたりするのですか?」
「いや、私が吹くのは、もっぱらホラだな。」
「ふふ、ですよね、センス無さそうですもの。」
「おいおい、それでも祭りの裏方として活躍してるんだぞ。」
「それはホラ話で実際はお酒を飲む担当だったりして。」
「さすが小夜ちゃん、良いとこを突いてるが、裏方の話は本当なんだ、伝統文化として残したいと考えていてね。
でも、子どもの数が減ってしまったし、手伝ってくれる若者も少なくなってしまったんだ。」
「と、すると、子どもの減少はいざ知らず、若者にとって魅力あるイベントでは無いのですね。」
「そう言われてしまうと…、そうなのかな…。」
「それは、組織運営上の失敗ではないですか?
人が集まって盛り上がるって、きっかけは何でも良いのですよ、多分。
問題は、そこに集る事が楽しいかどうか、中高年の人にとって楽しくても、若者にとって楽しく無かったら、昔と違って今は娯楽が多いじゃないですか。
そんな状況でも、祭りを通して男女の出会いが有ればとか考えてみましたか?
お祭りの日には昔のクラスメートと再会出来て、そこから恋が芽生える…、あ~ロマンチックだなぁ~。」
「その線は考えて無かった…。」
「早山さんが祭りの手伝いをしている理由は何ですか?」
「そうだな、昔馴染みとの時間を持てるし、妻との想い出の空間でも有るからかな、高校生時代の。」
「早山課長の奥さんはお綺麗ですよね、高校生の頃からお付き合いされていたのですか?」
「小さい頃から一緒に遊んでいたよ。」
「幼馴染ですか、羨ましいな…。」
「はは、良く言われる、相性が良いから大した問題も無く、子ども達も健やかに成長しているんだ。
「それはホラ話では無いですよね?」
「違うよ、陽気に暮らせているのは家族有っての事、お祭りの組織も家族の延長みたいな所が有る、そうだな、若い世代に対する働きかけはこれから考えてみるよ、夏祭りには小夜ちゃんを招待したいな。」
「え~、熊や猪が出る様な所へは怖くていけません。」
「そんな、凄い山奥みたいに決めつけないでくれよ。」
「な~んだ、ジビエ料理とか出ないのか。」
「どっちなんだよ…。
でも、最近は山の生態系が変わってしまって、猪との遭遇が増えてるそうだ。」
「凄い山奥じゃないですか!」
「いや、海も近いんだ。」
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