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猫田小夜-25 [化け猫亭-03]

「あらっ、中村さん、今日は伊藤さんとご一緒じゃないのですか?」
「ああ、彼は少し反省中でね、刑務所体験か精神科入院体験、小夜ちゃんは考えが有って二択だと話したのだろ?
本人は覚えて無かったから、素面の時にきちんと話をしたよ。」
「前向きに進みそうですか?」
「うん、まずは酒の量を減らして奥さんとの時間を大切にすると話していた。
仕事上のトラブルも話してくれたから、そちらは私がフォローするよ。
状況が悪化する前に解決策を模索すべき所だったのに、私も軽く考えて酒に付き合っていたから反省してる、有難うね、小夜ちゃん。」
「いえ、仕事上の事までは…、人って…、一つ上手く行かないと連鎖的な悪循環に陥ってしまうものなのでしょうか?」
「それは有るだろうな、逆に上手く行く時は相乗効果で好循環となる。」
「う~ん、悪循環の結果が犯罪なのでしょうか?」
「そうだな…、だが個人的な問題だけでなく社会の綻びが影響する場合も有るだろ。
その綻びが小さい内に何とかなれば良いのだが、問題が大きく成ってから初めて、どうしよう、って事は往々にして有る事だよな。」
「法の隙を突く様なグレーな行為を、法改正でアウトに出来るまで、時間が掛かり過ぎる気がします。」
「だな、だからと言って真っ当な手続きを踏まないで法改正が出来てしまったら、今度は悪法がまかり通ってしまう恐れが有る、私利私欲で形成されているのが現代社会だろ。」
「愛に満ち溢れた独裁者による政治と、私利私欲の民主主義国家、中村さんはどちらを選びます?」
「難しい二択だね、どんな独裁者かにもよるが…。
そもそも、民主主義国でも指導者の権限は大きい、それを暴走させないシステムを各国は作り出しているのだろうが、この瞬間だって、核ミサイル発射を命じる権限を持った人が世界中に何人かいるのが現実だ。」
「飼い猫の死に耐えられなかった指導者が、つい核ミサイル発射を命じるとか有りそうじゃないですか。」
「ブラックだな…、でも絶対に有り得ないとは言い切れないか…、たまたま二国間の緊張が高まっている時、大きな判断を求められストレスがピークに達しているトップリーダー、側近の誰もが気にも掛けず日々のルーティンを繰り返しているだけで孤独を味わっていて…。
タイミング悪く可愛がってた猫が死んだなら、核ミサイルの一発ぐらい発射したくなるかもな。」
「お~、中村さんは作家になれますね、そこから膨らませれば小説が書けそうです。」
「はは、君もな、まあ、国のトップになる様な人は図太い精神をお持ちだろうと信じたいところだが。」
「それ以前に、発射したらどうなるとか想像出来ない人が指導者になってしまったら怖いですね。」
「そうだな…。」
「中村さんは何時も色々想像されているのですか?」
「えっ、微妙な質問だな…。」
「あっ、御免なさい、変な意味では有りません。」
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