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猫田小夜-23 [化け猫亭-03]

「社内でも利害関係が有って、次期社長のグループに入れば昇進や給料に差が付くのですね。
檜田さんは、それには興味が無いのですか?」
「自分としては社内が一枚岩になって欲しいだけだよ、自分の地位や給料に不満はないからね。」
「派閥争いは権力を求めての事なのでしょうか?」
「それは有るね、人より上に立ちたいと本能的に思っている人は世の中少なくないし、それが社会を発展させる一つの原動力だろ。」
「そうですね、でも、日大アメフト部の元監督は威張りたそうな人に見えましたが、社会を正しく発展させる原動力とは思えませんでした。
う~ん…、戦争には科学技術を発展させた一面が有ったり、性的本能がネットの普及に繋がったとか有りましたので物事は単純では無いのでしょうね…。」
「確かに微妙では有るが、人に勝ちたいという意識が日本人の心から薄れてしまったら国際競争力は一気に落ちるだろう、だが、行き過ぎた競争社会の狭間でつらい思いをする人もいる。」
「バランスの取れた社会を形成するのはとても難しいのですね。」
「難しいな、だが、せめて自分の周りだけはと思うのだよ。」
「檜田さんは部下を怒鳴りつけたりされないのですか?」
「しないよ、怒鳴られる様な育てられ方をされなかったから、怒鳴って育てようとは思わないのさ。」
「あっ、聞いた事が有ります、殴られて育った人は殴って育てようとするが、殴られる事なく育った人は人を殴らない、殴れないと。」
「まあ、全員に当てはまるとは言い切れないだろうが、そういう傾向は有るだろうね。
私は人の殴り方すら知らないよ。
ただ、追い込まれ過ぎた時に、力加減が分からず大怪我をさせてしまったりとか、ある意味危険だと言う人もいるけどな。」
「そういう喧嘩の事は分かりませんね、別世界の出来事で…。
檜田さんは、怒鳴られて萎縮する人と、逆に発奮する人がいるとお考えですか?」
「怒鳴られなくては発奮出来ないというのは情けないと思わないか。
そんな人に良い仕事が出来るかな?」
「ですよね…、コーチに指導力が無く…、日大アメフト部はすでに大きな闇を抱えていた、それが、たまたま表に出て…、でもそんな組織は他に幾らでも有るでしょう。
多くの人がコーチングとかを見直す機会となれば、日大アメフト部が大きな社会貢献した事になりますね。」
「はは、小夜ちゃんは綺麗にまとめたと思うだろうが、世の中そんなに甘く無いよ。
でも、そうだな…、ただ、元監督の批判をするだけでなく、自分達の組織を色々な角度から見直すべきだろうね、まあうちはその真っ最中なのだが。」
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