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猫田小夜-11 [化け猫亭-02]

「小夜ちゃんなら就職してもすぐに影のボスになりそうだけど。」
「そこまで甘く無いですよ、ここのお客様方でも三割ぐらいの人は部下に出来無さそうです。」
「という事は、後の七割は…。」
「部下になって下りそうな方は五割ぐらいですよ、宮田さんは中間の二割かな。」
「そ、そうなのか…。」
「組織に於ける人間関係って難しいじゃないですか、会社組織では上司の能力が低かったが為に実力を発揮出来ない人が少なからず居るのでは在りませんか?」
「そうだな、私も…、就職したばかりの頃は全く分からなかったのだが、ある日ふと気付いたんだ、係長って頭が悪いんじゃないのかってね。」
「あらま。」
「それから情報収集をしたんだ、先輩方から係長に関する情報を聞き出して行くと、自分が社内でもかなり評価の低い係長の下に配属された事が分かった。」
「それで宮田さんは?」
「係長と話し合ったよ。」
「そして影の係長となったのですか?」
「まあそんなとこ、その係長は悪い人では無かったから私を尊重してくれて、今は私の部下として新人教育をして貰ってる。」
「私だったら…、追い詰めてしまうかも知れません。」
「そうかな、自分は影に徹したけど、小夜ちゃんなら、普通に上司をこき使いそうだ。」
「ですかね…、就職に積極的になれないのはその辺りの人間関係が良く分からないからなのです。
頭も性格も悪い人と同じ空気を吸いたくないじゃないですか。」
「まあ、就職には運の要素が少なからず有るからな、第一志望へ入社してがっかりとか、妥協して働き始めたら自分に合ってた、なんて話は結構耳にするよ。」
「う~ん、能力の高い人に絞ると、人の上に立って威張りたい人は就職を、そうでない人は、起業したり、個人での活動を目指すと思いませんか?」
「はは、小夜ちゃんは後者なんだね。」
「小中学生の頃に集団で動く無駄を散々経験しましたので。」
「なるほどな、高校はどうだったの?」
「自由な校風でしたし、論理的に話せばすぐ分かってくれる人ばかりでしたので気楽でした。」
「もしかして女王様だったとか?」
「いえ、私はそういうタイプではありません。」
「あっ、猫か…。」
「ふふ、さすが宮田さんですね、猫という立ち位置は色々許されるのですよ、何をしていても、しなくても、クラスの皆から可愛がって貰っていました。」
「ルックスが良いと何でも許されてしまうのか…。」
「どうですかね、でも、聞いて下さいよぉ~、私が良いなと思う男子にはみんな可愛い彼女がいて、私に言い寄って来る連中は、感覚的に御免ねっ、て人ばかりだったのです。
私の辞書に妥協という言葉は載っていませんので…、高校時代に性格が少し歪んだかも知れません。」
「はは、まだ妥協する必要は無さそうだが、高望みし過ぎているとチャンスを逃すかもしれないぞ。」
「ですよね…。」
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