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神沢祐樹-94 [高校生会議2-18]

「祐樹くん、テレビ見たわよ、可愛い高校生なのに、しっかりした受け答えは、流石ね。」
「はは、春日部先生、褒めても何も出せませんよ。」
「そんなの期待してないわ、それより部活を休んだ日の録音は聴いてくれた?」
「はい、絵美と聴きながら歌っています。」
「忙しそうだけど、コンクールは出られるの?」
「大丈夫ですよ、日程は合わせて有りますし、合唱コンクールも番組で取り上げて貰いますから。」
「なら安心なのかな。
ねえ二枚目のCDに向けての選曲は進んでる?」
「はい、自分達の世代にも喜んで貰えそうな曲を探って貰っています。
でも、候補曲を増やしたいと考えていまして、先生が子ども時代に好きだった曲で、お勧めの曲とか有りませんか?」
「そうね…、あなた達のイメージとは少し違うかしら、でも原曲と全く違った雰囲気で歌うというのも面白いのかな。
一度、昔聴いていた曲を聴き返してみるわね。」
「お願いします。
ところで、小倉百人一首をモチーフにした曲作りがどうなってるのか、気になっているのですが。」
「あっ、遥香システムにはあまり情報を上げてないものね。
アドバイスを貰い過ぎると、まとまらないでしょ、だからこっそりやってるのよ。
それでもチームメンバーは三十人を越えてね、良い作品が出来たらLENTOに歌って貰えるという事で盛り上がってるわ。
競技かるたの読手の方も加わって下さって、百人一首、その独特の雰囲気から曲に繋げるのに苦労はしてるものの、何とか形になりそうよ。」
「英語の先生とは?」
「えっ、ま、まあ仲良く取り組んでるわ、日本の文化を外国の方にも親しんで貰えるかも知れないでしょ。」
「そこで顔が赤らんだという事は上手く行ってるという事ですね?」
「もう、祐樹くんたら、大人をからかわないの!」
「はは、面白い曲が出来上がる事を期待していますよ、ある程度完成したら、編曲をお願いしている先生方にも聴いて頂きます、完全に仕上げようとは考えないで下さいね。」
「ええ、LENTOの二人に歌って貰って初めて完成だと思っているわ。
普通なら作詞作曲なんて個人作業でしょ、でも私達はプロではないから意見を出し合って…、祐樹くんに言われた通り一曲に付き複数の案を残して作業を進めてるわ、最終判断はお願いね。」
「それが社長の務めかな、でも編曲の先生を尊重しますよ。
著作権はチームに帰属する方向ですが、チーム名を『しのぶれど』としたのは、どんな流れなのですか?」
「ふふ、絵美さんは全く忍んでいませんが、私達の祐樹くんに対する気持ちをね。」
「はは、訊かなきゃ良かった。」
「ねえ、『しのぶれど』にも取材が入るのでしょ。」
「ええ、実験的取り組ですからね、現代音楽と古典との融合だけでなく、学校改革で余裕が出来た教師という観点からも掘り下げて貰うつもりです。」
「そこに教育者サイドから生徒へのメッセージとかも入れて貰えないかしら。」
「その想いを制作スタッフへ伝えて頂ければ大丈夫だと思いますよ。
柿川の教師から全国の生徒達へ、内容が良ければ一回の放送枠に収める必要も有りませんから。」
「うん、古典なんて学習する意味が分からない、と生徒に言われてしまった先生がね…。」
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