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神沢祐樹-06 [高校生会議2-09]

「絵美、この路線は市内の主な施設を周る様に組まれているんだ、だから少し回り道みたいになってるけど車を持たない人、特にお年寄りには重宝されているんだよ。
そこの岩崎総合病院へ通う人とか、もう直ぐ見えて来る生涯学習センターとかね。」
「生涯学習センターって何ですか?」
「そうだな老若男女入り混じってスポーツしたり、色々なサークルが利用してる、文化系もね。」
「市民サービスの一環でしょうか?」
「市の施設だからね、竹本市長に代わってから随分使い易くなったよ。」
「祐樹さまも利用されているのですか?」
「ああ…、おっとそこが図書館だ、絵美は図書館、利用してた?」
「いいえ、学校の図書室で充分でしたから。」
「う~ん、お嬢様学校の図書室がイメージ出来ないのだが。」
「え~、どこも同じですよ、私達の高校と同じぐらいの規模です。」
「でも、内装が違っていたりして。」
「そうですね…、高校の図書室はまだ一度しか行ってませんが、内装と言うより何となく使い易いのかなと思わせる作りでした。」
「竹本市長になってから学校施設への予算が増えて、図書室は改修したばかりなんだ。
今後、市内の公立学校と市立図書館、岩崎学園大学柿川校の図書館は、システム統合して蔵書の管理をすると聞いている。」
「大学もですか、でも大変そうですね。」
「ああ、問題は色々有って本好きの人達が相談しているそうだ、図書館が充実し過ぎて今以上に本が売れなくなると、それはそれで問題だろ。
紙の本で読む文化を残したいと考えている人は少なくないんだよ。」
「そんな視点で考えた事なかったです、でも、お茶を頂きながら詩集を味わうのはやはりきちんとした装丁の本が一番だと思います。」
「はは、君に似合いそうだ…。」

「町の雰囲気が急に変わりましたね。」
「うん、このエリアは昔から柿川市の中心地、岩崎が周辺地を開発するまでは衰退しつつあったその象徴だね。」
「道幅が狭くなりましたものね。」
「古いと言っても、残しておきたい程の建物は少なくて観光には程遠い、それで市は思い切った再開発を進め始めているんだ。」
「建て替えですか?」
「ああ、スクラップアンドビルドを計画中だけど、費用や住民の暮らしの問題が有るから長期間掛かるだろうね。」
「でも、街並みを見ているとそれが必要な事だと分かる気がします。
都市機能が正常に維持されるには適正な新陳代謝が必要ですが、ここではそれが滞っていると感じます。」
「そういう事だが…、絵美は…、こういう事にも興味は有るの?」
「はい、祐樹さまが話して下さる事なら何でも。」
「お嬢様中学の実情は良く分からないが、友達はみんなそうだったのか?」
「いえ、そうでも有りませんでしたので、引っ越しに抵抗が無かったのです…。」
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