SSブログ

神沢祐樹-01 [高校生会議2-09]

「あの、神沢くんはお兄さんもこの高校なのですよね。」
「ああ。」
「それでは入学早々部活関連の時間が結構有りますが、それがどんな内容なのかご存知なのですね。」
「うん、地獄の特訓と試験、その結果でどの部活に所属するか振り分けられるのさ、白川さんは体力に自信有る?」
「え~、嘘ですよね、私は合唱部にしようと思ってましたのに…。」
「冗談だよ。」
「えっ?」
「それでも体育の授業を兼ねているから、文化部志望でも体操服で走ったりするんだよ。」
「良く分かりません。」
「資料は読んでないの?」
「他に気になる事が多過ぎまして…。」
「仕方ないから、説明してあげよう。
明日は科学的トレーニングについての説明とランニング実習。
柿川市内の公立高校はどこも理論に基づいたトレーニングをしているんだ、体育でも部活でもね。
だらだらと何も考えずに長時間練習するより、短時間でも無理なく効率的に練習すれば、成果が上がるだけでなく怪我をしにくいんだよ。
その辺りの説明の後、走り方の説明だね。」
「え~、教えて頂かなくても走る事は出来ますわ。」
「いやいや、間違ったフォームで走っていると体にひずみが出たりして体に良くないんだ、だから文化部希望者も必須、体育の時間に走る事も有るし、健康の為にジョギングをする人もいるだろ。」
「そうなのですか、歌は体が楽器だから関係有りそうですが。」
「余程どんくさくない限り足が速くなると思うよ。」
「うっ、私、どんくさそうに見えますか?」
「いや、お嬢様っぽいから、走るイメージは湧かないかな。」
「そ、そんな…、お嬢様じゃないです。」
「赤くならなくて良いよ、でも中学は私立の女子校だったのだろ。」
「ええ、あ、あの…、神沢くん、私…、変じゃないですか?」
「変って?」
「私、同い年の男の子とこんなに沢山話したの初めてなのです…。」
「えっ、そ、それは…。」
「それは?」
「面白い。」
「あ~ん、勇気を出してお話しましたのに…。」
「はは、ごめんごめん、まあ席が隣になったのも何かの縁、何でも相談してくれ。
ちなみに、君は全然変じゃないぞ。」
「ほんとですか? ではお友達になって下さいますか?」
「もちろんさ。」
「では、私の事は絵美と呼んで下さいね。」
「ああ。」
「で、その…、祐樹って呼んでも良いですか?」
「構わないが、周りから誤解されるかもしれないぞ。」
「誤解ですか?」
「その…、付き合ってるとか。」
「えっ、男女こ…、交際ですね…、でもまだ手紙をお渡ししていませんし、校舎裏での告白もしていません、それなのに、その様な事になってよろしいのでしょうか…。」
「いきなりファーストネームで呼び合っていたら周りの連中が付き合ってると誤解するかもって事だよ。」
「それは祐樹さまにとってご迷惑な事ではないのでしょうか?」
「まあ、面白いから構わないかな。」
「では、宜しくお願い致します。」
「あ、ああ。」
nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 4

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。