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板垣千景-12 [高校生会議2-06]

変な記事が雑誌に掲載されてしまったお陰で私が注目されたのは迷惑だった。
でも、お父さんは将来の事を考えたら、その記事に対してどう対応するのか自分で判断する必要があると言う。
確かに職業として政治家を目指すのであれば対応出来なくてはならないし、逆に利用してみどりの風の宣伝をするぐらいの気持ちが必要かも知れない。
そう思い、竹本市長や桜さんと相談した結果、テレビの情報番組に出させて頂く事になった。
番組へは岩崎の本部が手を回したそうだ。
桜さんが私に付けて下さった仮のマネージャーは、出演までのトレーニングを手配してくれた。
ただ、その内容は濃くて…、彼曰く、本番になったら自分達は何の手助けも出来ないからと。
短期間で色々詰め込む必要が有る為、厳しいトレーニングとなったが、何故それが必要なのかは自分で理解出来ていた。
初対面の人に好印象を持って頂く事は簡単ではない。
結局、学校の先生にずる休みさせて下さいと事情を話し、授業を休んでトレーニングに励んだ。
少しの仕草や表情を変える事で、人に与える印象は大きく変わる。
私の肩書は市長室室長、みどりの風のスタッフだ、私に対する評価をそのままみどりの風の評価に置き換える人がいてもおかしくない、そう考えると緊張感が増す。
それを感じたのか本番の収録前、マネージャーは緊張気味の私に、沢山の仲間がいる、私がみどりの風のすべてを背負ってる訳ではないのだから、気負わずに自然体でとアドバイスしてくれた。
そして本番…。

「今日はスーパー女子高生板垣千景さんに来て頂きました、まずはそのスーパーぶりをVTRでどうぞ。」
さすがにプロの仕事で、紹介VTRを綺麗に仕上げてくれていた、選挙前の動きや選挙後の室長としての仕事を分かり易く描いて有る。
それを受けて…。
「板垣さんは柿川市の偉い人なのですか?」
「いえ、竹本市長のお手伝いをさせて頂く立場です。」
「えっと、ボランティアという事で?」
「いえ、私は岩崎高校生会議というみどりの風支持母体のメンバー、その職場体験実習生として給料を頂いています。」
「それでも、市長室の室長、大きな権限をお持ちではないのですか?」
「権限は有りません、情報を整理し市長の判断を仰ぎそれを皆さんにお伝えするという事が私の役目です、政党が設置したもので市の予算は使っていません、市長を裏から手助けしているとお考え下さい。」
「竹本市長を陰で操っているとの記事を目にしましたが、実際の所はどうなのです?」
「そんな事有る訳ないです、強いて言えば会議のおやつ決定権を握っている程度ですよ。」
「はは、ですよね、こんな可愛らしいお嬢さんがね。
でも、板垣さんが整理した情報を竹本市長が参考にするという事は市政に対して影響力が有るのではないですか?」
「その作業は私一人で行う訳では有りませんし情報の多くは公開しています。
市役所へ私達が使っている遥香システムの導入が決定し、導入されたら、情報公開もスピードアップ出来ると考えています。」
「それをご覧になって頂ければ私が竹本市長を…、なんて、とてつもなく失礼な事だと分かって頂けるでしょう。
竹本市長は社長業をしながら市政を詳しく調べて来られた方で、私の先生でも有りますから。」
「分かりました、ところで板垣さんは将来について、目標とか有るのですか?」
「今はきちんと政治を学んで、将来は政治に関わる仕事をしたいと考えています。」
「政治家ですか?」
「政治家に限りません、政策秘書という道も有ります。
政治に関する学習をまともにして来なかった人が勢いで当選してしまう様な選挙制度ですが、みどりの風ではそれを否定しています。」
「国政政党となって当然衆議院選挙とかに候補者を立てると思いますが、それで候補者は集るのですか?」
「もちろんです、議員候補には仕事で実績の有る人達が、すでに全員当選すれば衆議院で過半数を獲得出来る人数を越えています。
近い内に全選挙区に候補者を擁立出来る人数になるとの情報を得ています。
各立候補予定者にはそれぞれの得意分野から専門分野が割り振られ、複数のブレインが付いています。
簡単に言えば、副大臣になってから、初めてその分野について知ったとか、ほとんど官僚に丸投げとかは有り得ないという事です。」
「方向性がしっかりしているという事でしょうか?」
「はい、みどりの風は地域政党として活動する中で、国政を目指しての準備をしてきました。
私利私欲で所属先をころころ変える議員が立ち上げた政党では有りませんし、もちろん個人の人気に乗っかって立ち上げた政党でも有りません。
地域政党としての実績が評価され党員を増やしての国政政党立ち上げなのです。」
「しかし現時点でみどりの風の国会議員には他党を離党されての方もおられますが。」
「はい、元々地域政党みどりの風が推薦していた方が中心ですが、そうでない方々の中には党利党略の方針に愛想が尽きたと話しておられる方もお見えです。」
「みどりの風はそうならないのですか?」
「基本理念がしっかりしていますし、議員と議員のブレインの立場は対等です。
一個人の考えだけで動く様な方が現れたら離党して頂く事になるでしょうが、私は幹部スタッフの人選を信じています。」
「そうですか、まだ衆議院選挙の話は出ていませんが、議員候補の方々は今、どの様な事をされているのでしょう?」
「ご自身のお仕事と議員となる為の作業をダブルワークの形でしています。
時間の使い方がお上手な管理職の方が中心ですから二つの肩書が有っても問題ないです。」
「そうすると庶民とは感覚が違って来ませんか?」
「岩崎で管理職になる方は人望の厚い方、つまり皆さんの心を掴んでおられる方です。
岩崎では貧困対策に力を入れて来たという事をご存知有りませんでしたか?」
「あっ、それは聞いた事が有ります。」
「優秀な管理者がいて実現している事なのですよ。」
「なるほど…。」

結局、みどりの風と岩崎の宣伝を沢山させて頂いた。
放送後沢山のメールが届いたが一番嬉しかったのは、遥香さまからの…。
『Good Job!!』
だった。
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