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鍵山昇-09 [高校生会議2-04]

異世界惑星に町はまだ一つだけ、でも内容はかなり充実してきた、ここまでに時間はしっかり掛かったが、VRで異世界の森や公園の散歩を楽しめるだけでなくモードを切り替えれば、そこで出会った人とコミュニケーションを取る事が出来るといった、僕の力では到底作れそうに無いコンテンツも加わっている。
本格運用を前に岩崎高校生会議メンバーに対して公開を始めたが評判は悪くない。
惑星上の色々な仕掛けを構築しているのは僕らのチームだが、チームの人数は随分増えた。
それはシステムエンジニアやプログラマーを養成する学校がバックについてくれたからだ。
学生の実習の場として、新たなプログラム実験の場として、それから僕等高校生がハイレベルな技術に接する場と考えられてのことだそうだ。
チームリーダーは二十歳の学生が引き受けてくれた。
彼は久兼くん達が立ち上げた株式会社Team Seventeenの社員という扱いになっている。
異世界惑星は営利目的でも有るからだ。
コンテンツの多くは趣味を発展させた様なもの、だがみんなで意見を出し合った結果、そのクオリティはかなり高くなったと思う。
ここまでに出来たのは企画の趣旨を理解してくれたスタッフの力だ。
そして…。

「鍵山くんは異世界惑星企画を通して自分の将来とか考える事、出来た?」
「はい井上さん、随分固まりました。
今は遥香システムを使う企業が増えているのでシステムエンジニアとかが不足気味だそうです。
遥香システムを最大限に活かして行くにはそれなりの人材が必要な訳で、自分もその一人になれないかと考えています。」
「そっか…、絵描きや物書き達はそれぞれ自分の力を知る機会になったみたいで、自分の力量では絵では食べて行けないとかシビアな判断をし始めているの、鍵山くんは大丈夫?」
「何とか合格点は頂けています、まだまだ経験を積む必要は有りますが何とかなりそうです。」
「成程ね、そんな自信が顔にも表れているのかしら、企画がスタートした頃とは全然違うわよ。」
「そ、そうですか…、自分では分かりませんが…。」
「後は下を向く癖を無くす事ね、企画のきっかけを作った人物として注目している人もいるのだから。」
「そんな事言われても…、現実逃避出来る場が欲しかっただけの男です…。」
「ふふ、現実と向き合えていると思うわよ、将来の事も考えているのだから。
ねえ、春休みに画家や物書き達と集まるのだけど鍵山くんも参加しない?
システム上で鍵山くんの事を知っている人達と、たまにはリアルに会って話してみるのも良いでしょ?」
「うっ、緊張しそうですが…。」
「大丈夫よ、私と話していても以前ほどでは無くなったでしょ。」
「は、はい…。」
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