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鍵山昇-08 [高校生会議2-04]

町長からの通達は大きな効果をもたらした。
すぐに交流が始まり、煮詰まっていたチームの中には、その答えを他チームで見つけたところも有った様だ。
一気に交流が広がった事で、町としての統一感が感じられる様になり始めている。
そもそも基本設定だけでストーリーを構成して行くのは無理が有った、他のチームと調整して行く事で世界観が統一の方向へ向かった訳だ。
ライトノベルの原稿からインスピレーションを得てイラストが描かれたり、そこから漫画のストーリーへと発展した。
イラストからイメージを膨らませストーリーを完成させた人もいる。
それに伴って各チームのワークシートを充実させる事が楽になった。
それは井上さんも感じている様で…。

「鍵山くん、最近、町がまとまってきたね。」
「はい、皆さん大人だと思います、画風に関しても自己主張し過ぎないで互いに寄せてくれる様になりました。
お陰で、違うチームの作品を合わせても違和感なく仕上げる事が出来ます。
趣味ではなく仕事の領域に近づけたいと考えて下さった結果だと思います。」
「それでコラボ企画が増えたのね。」
「町長が和という方針を明確にして下さいましたから。」
「移民の受け入れ態勢はどう?」
「受け入れだけなら一人一部屋、もう何人でも大丈夫です、アバターの選択肢を増やしましたし、部屋の模様替えバリエーションも増え続けています。
まだ既存のサービスレベルですが、有料サービスが始まったら他には無い手作業を交えたサービスを計画中です。」
「課金システムは何時頃完成するの?」
「もう少しかかりそうです。
間違いが有ってはいけないので、完成したら僕等のコーチに見て貰って、そこで合格したらシステム開発部で確認して貰って、それから運用試験、そこで問題がなかったら試用期間を経て本格運用です。」
「さすがにお金が係わる事だものね。
でもそれぐらいの時間は、他の部分も、異世界惑星の本格運用までには掛かりそうよね。」
「はい、焦っていい加減な形で始めても魅力的なものにはなりません。
本格運用後に足を踏み入れた人が町のすべてを知りたいと思う状態が理想です。」
「そうね、随分楽しいコンテンツが増えたとは言え、まだまだこれから、でもライトノベルのシステムは面白かったわ、ページをめくったら、綺麗なイラストが現れたり、短い動画が始まったり、文字だけのバージョンと選べるのも親切ね。」
「今はサンプル版ですが有料バージョンではもっとダイナミックに出来ないかと検討中です。
完全なアニメ化はハードルが高いですが、文字の方が多くの情報を伝え易い場合と映像の方が理解が早い場合が有って、そのバランスを取る事が出来れば新たな表現形態として売り出せるのではないかと、そうですね絵本の発展形と言いますか。」
「手間は掛かるのでしょ?」
「はい、それでも今は各自趣味のレベル、本業に差し障りが無いように互いに注意しながら作業を楽しんでいます、僕達もですが。」
「人数が増えてリーダーやサブリーダー達の手間は増えてるけど、システムで確認出来る範囲では問題無さそう、それ以外は確認出来ないから働き過ぎてるとかの情報を掴んだら教えてね。」
「それを…、僕に?」
「はは、そうだった、人付き合いは苦手だったかしら…、でも鍵山くん、システム上ではずいぶん頼られてるみたいだけどな。」
「そ、そんな事ないですよ…。」
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