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連雀小夜子-07 [高校生会議2-03]

授業が始まってからの実習は、真純とも相談の上、夏休みに経験した倉庫にして貰った。
授業後の二時間程度、主婦の社員と入れ替わって作業。
希望者が結構いるそうで、私は週に三回程度、良い運動にもなっている。
実習の前後に社会経済関連の研修を受ける事も。
会社側は私達を単なる労働力と考えているのではなく、高校卒業後、もしくは大学卒業後、労働者としてより質の高い仕事の出来る人になって欲しいと考えているそうだ。
担当の方は、どこに就職しようと構わないが、より充実した社会生活を送れる様になって欲しいと話して下さった。

「小夜子、倉庫での実習に慣れてきたから、これからは他の倉庫や工場を見学したり、実習に行ったりしてみない?」
「はい、お願いします。」
「時間や内容は現場によって多少違うけど、会社の説明、現場の説明の後、見学、現場によっては社員の方と後片付けをした後で社員との懇親会という流れになるわ。
就職を考えたくなった会社や気になる男性社員のいる現場は見学会の有る度に行っても良いし、実習を受け付けている現場は実習に申し込んでも良いわよ。
どの現場も高校生の就職を受け付けているからね。」
「就職先を決める参考にする訳ですか?」
「ええ、実際に就職した後で自分がどんな仕事をするのか、自分の目で見ておくと参考になるでしょ。」
「はい、倉庫の仕事は楽しいですが、現場の社員さんからは色々な仕事を経験しておくと将来役に立つと言われました。
グループ内転職制度を教えて頂きましたが、今は一つの職場で腰を落ち着けて働けたらと考えています。
自分の目で見極めて自分の就職先を考えたいと思っています。」
「小夜子は就職に対して何か考えてる事とか無いの?」
「そうですね、真純リーダーには随分お世話になりましたから…、私なりに…、後輩の面倒をみられるぐらいには成りたいと思っています。」
「ふふ、ならば少しずつ一年生の指導をお願いしても良いかしら?」
「はい、まだ至らないとは思いますが、自分の成長にも繋げたいと思います。」

自分でも驚くぐらい、私はこの半年ほどで大きく変わったと思う。
当初、食生活改善と考えていたのが、実はぐーたらでダメダメ人間だった私を根本から変えようとしてくれているのだと気付くのに時間は掛からなかった。
それでも急がされていたら駄目だったと思う。
真純中心にじっくり根気よく指導して貰って来た。
同級生の真純に対して敬語で話すのは、単なる言葉遣いの練習ではなく、心から尊敬しての事なのだ。
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