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おまじない [短編集-6]

真奈美と結婚して二年になる。
性格が良くて可愛くて、何の問題も無いのだが、彼女は良くおまじないをする…。

「真奈美、またおまじないか?」
「ええ、あなたが今日の飲み会で飲み過ぎない様にね。」

そう言って、彼女は俺の時計にキスをした。
俺は頻繁に時計を見る癖が有る。
気が付くと飲み会の席で飲み過ぎない様、自重していた。
時計を見る度に真奈美を思い出したからだ。
別の日には…。

「なあ真奈美、おまじないに効果はあるのか?」
「もちろんよ。」
「良く分からないが、今やってたのは何のおまじないなんだ?」
「誠が会社の人と恋に落ちない様にね。」
「はは、何を言ってるんだ、俺は真奈美一筋だぞ。」
「有難う、でも保険みたいなものね。」

そう言われると…、最近色目を使って来る同僚がいたりする。
だが、おまじないをされてからは、その彼女を見ると真奈美が俺の目の前で女優の写真をやぶいた光景が思い出される様になった。
思い返すと彼女のおまじないは不思議なくらい効果が有った気がして来る。
今まであまり気にしていなかったから気付いてなかっただけかも知れない。
数日間じっくり考えてから…。

「なあ、真奈美のおまじないって人の心理を考えてやっているのか?」
「そんな難しい事考えてないわよ。」
「でも、ふと気づいたら真奈美のおまじないに沢山助けられていた様な気がして来たんだ。」
「ふふ、気付いてくれたのね、これからはそれが半分になるから、誠がおまじないの効果に気付くおまじないを掛けたのよ。」
「えっ?」
「赤ちゃんが出来たの。」
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