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展開-09 [高校生会議-16]

ヨーロッパの王族、騎士団メンバーを中心としたパーティーには、各国から政治経済に関係する人も招待された。
ただ、招待されたと言っても単純ではない。
各国の思惑、利害関係と力関係、簡単に言えば岩崎王国との関係を強化する事が自分達の利益に繋がると判断した人達が集まって来た訳だ。
そんな人達の情報は事前に調査して有って、こちらにとって有益かどうかの検討も済ませては有る。
私利私欲の人で有っても利用させて頂けるのなら問題はない。
パーティー開始前。

「各自自分が担当する人のデータは頭に入ってるわね。
担当以外の人が接触して来たら適当に誤魔化せる?」
「桜、大丈夫よ、皆でシュミレーションしたわ。」
「遥香さまと話すのは王族を優先、他の方は簡単な挨拶程度になる、不満が大きくならない様に聞き役に徹してね、そこでどれだけの情報を聞き出せるかが今日のあなた方のミッション、ワインはオーケーだけど遊びじゃないからね。
美人揃いだから誘われるかもしれないけど、自分の気持ちに忠実に、良い男だと思ったら付き合っても良いし、嫌だと思ったら相手の肩書関係なくお断りというのが遥香さまからの指示よ。」
「そういった事も報告シートに書き込めば良いのね。」
「ええ、遥香システムに慣れていない人は指導担当に相談してね。」
「トレーニング中の一番大きな仕事がパーティーになるとは思ってなかったけど、きっちりこなして遥香さまのお役に立ちたいわ。」
「でも、力が入り過ぎると不自然になる、自然体でね。」
「はい。」

今まで男性スタッフは表に出していない。
代わりに女性でも憧れる女性スタッフが活躍してくれている。
姫の付き人という事であらぬ疑いを掛けられない為だ。
今回は主催者である国王の許しを得て、スタッフを客としてホールに入れさせて貰った。
中には車椅子のスタッフも。
パーティー終了後。

「アマンダ、大丈夫だった?」
「はい、遥香さま、皆さんとってもお優しくて、私のもう一つの母国にいるより快適でした。」
「御免なさいね、私のスタッフはあなたのスキルと美貌、そして車椅子生活である事を理由に今日の行事への参加をお願いしました。
それなのに充分なフォローが出来なくて、あなたに失礼な態度を取った人物とは今後距離を取る事になると思います。」
「う~ん、遥香さまに心配をお掛けしてしまったのでしたら私のミスです。
桜達にも、極力手を貸さないで欲しいとお願いしていました。
何の不安もなく遥香さまの側近が出来る所をお見せしたかったです。」
「相手が悪かったわね、事前調査で要注意人物ではあったの、アマンダ、これからも似た様な扱いを受けてしまう可能性は有るのだけれど、アメリカへは予定通り同行してくれるかしら?」
「勿論です、遥香さまとアメリカへ行けるなんて私の人生の中で最高の出来事、いえ、今、こうして歴史上最高の姫とお話しさせて頂いてることが夢の様です。」
「ふふ、アマンダは大袈裟なのね、それで相談なんだけど、今、スペイン語の先生を探してるのアメリカの後日本へ行ってみない?」
「えっ、連れて行って下さるのですか…、私はずっと日本に憧れていて…、あ~もっともっと日本語勉強しておくんだった。」
「焦らなくて大丈夫よ、チーム遥香の一員になってくれる?」
「も、勿論です…、でも…、車椅子の私で良いのですか?」
「あちこちバリアフリーにして有るのに車椅子の方との交流が無くてね、使ってみないと問題点も見えて来ないでしょ。」
「は、遥香さま~、泣いても良いですか…。」
「ふふ、私が許可する前に泣いてるじゃない。」
「遥香さま…。」
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