SSブログ

みどりの風-16 [高校生会議-12]

政党への挨拶回りは岩山さんと富永さんにも同行して頂いた。

「富永さん何か楽しかったわね。」
「遥香さま、私は慣れない事で疲れましたよ。」
「ふふ、私達を舐めてた野党の方々を一番ビビらせたのは富永さんでしょ。」
「いえいえ、後ろで岩山氏が睨みをきかせ、遥香さまは意味深な微笑でさりげなくフォローしていたと聡美ちゃんが教えてくれました。」
「ふふ、野党の皆さんは岩山さんの貫禄と富永さんの話術で、折角集めたマスコミの方に良い所を見せられませんでしたね。」
「まあ、長く野党をやってる内に自分達の目標が曖昧になって来てる輩ですから、まずは突き放しておいて…、選挙後に彼等がどう出るかですよ。」
「岩山さん、やはり連立という事ですか?」
「聡美、衆議院選挙で勝っただけでは安定政権とはならないが、次の参議院選挙を考えると情けない政党との協力関係はマイナスになると思うよ。」
「しかし、遥香さま、与党の方は我々に対して危機感を抱いていると感じませんでしたか、流石に政党支持率は無視できない様で。」
「富永さんもそう感じましたか、野党は対談をパフォーマンスぐらいにしか考えていませんでしたが、与党はきっちり政策に対しての意見を求めてきましたものね、ふふ、お姫さまモードで話させて頂いたからイライラさせてしまったかしら。」
「内容がすごく分かり易くて…、ゆったり話して下さいましたから、ご老人達も理解出来たのではないですか、ただ…、何人かは遥香さまに見とれていて、話が頭に入ったかどうか怪しいものでしたが。」
「はは、後から映像を何度も見返すだろうから、その時に我が党の方針が刷り込まれ、みどりの風よりの政策に変わるかも知れないぞ。」
「遥香姫親衛隊の隊員も複数いましたね、みどりの風党首のファンを公言して問題にならないのかしら。」
「先を見ているのでしょう、他の野党と違ってしっかりとしたバックアップ組織を持っている事は彼等にとって脅威だと思います。
選挙で負けた場合の落としどころまで考え始めているのかも知れません。
こちらは、ひたすら一党独裁を目指している訳でも有りませんので、バランスの取れた協力関係は大切だと思います。」
「そうですね、今回各党関係者とお話しさせて頂いて色々見えた気がします、岩山さん、そろそろ次期党首候補という事を表に出されて良いのではないですか?」
「はい…、党内も落ち着いて来ました、遥香さまばかりに頼っていては立候補予定者の名前すら憶えて貰えないかも知れません。
DVDが発売されましたので、タイミング的には悪くないと思っています。
遥香さま、気の向いた時に次期党首候補と漏らして下さって構いません。」
「はは、情報は一瞬にして広がるでしょうな、並行して他の候補者達にも光が当たる様に小細工を指示しておきますよ。」
「富永さん、お願いします、あっ、ご自身は選挙対策をなされているのですか?」
「勿論です、地元の同窓会や親戚を中心にスタートした後援会が勝手に盛り上がっています、遥香姫親衛隊隊員、みどりの風党員が立候補予定の選挙区内で増加していまして、後援会の会長は、公示の前までには当確レベルの状態にしてやると息巻いています。
まあ、完全に遥香さま効果でして、以前のテレビ番組出演時に私が遥香さまの隣だっただけで盛り上がる様な連中です。
岩崎とさほど関係のない奴らも、遥香さまが記者会見で話された政策を支持すると話していて、バックが企業体だという事は余り気にしてないみたいです、宗教団体より安心出来るそうで。」
「やはり今しばらくは立候補予定者の為にも、党首の肩書はそのままでお願い出来ますか?」
「ええ、大丈夫です、党首の役割を二人で担えば余裕が出来るでしょう、岩山さんは市長選の圧勝を考えたらすでに当確です、弱いエリアの応援をお願いします。
私は、党の宣伝用DVDを頑張りますね。」
「お願いします、販売価格は未定ですが利益は各地区支部の活動費に回させて頂きます。」
「あまり売れないと思いますが…。」
「いえ、売って行きます、勿論、歌のDVDほどは売れないでしょうが海外に向けても、みどりの風の方針を伝える事はそのまま岩崎王国の紹介になると考えています。
遥香さまが歌を交えてお話し下さる訳ですから。」
「う~ん、でしたら英語バージョンも作りましょうか?」
「えっ、字幕で何とかしようと思っていましたが。」
「英語教材としても使える様にして置けば…、ふふ、英語の学習をしながら洗脳されて行く若者達って構図、悪くないでしょ。」
「おお~、腹黒遥香さま降臨!」
「聡美ちゃん、腹黒は…。」
「ああ、富永さんはご存じなかったですね、腹黒は私の代名詞なのですよ。」
「しかし…。」
「遥香さまの英語は外国人記者にも好評ですが、お仕事を増やされては…、申し訳なく…。」
「大丈夫よ、聡美、英語の先生達に英訳原稿作成をお願いして。」
「はい。」
「歌も全て英語の歌にします、党に関する紹介内容は同じでも二本違ったものに仕上げますから指示をお願い。」
「承知致しました、英語教材としても使い易い様に指示しておきます。
販売戦略の見直しは私が直接指揮を取らさせて頂きます。」
「そうね、展開次第では岩崎王国にとってもプラスになるわ、お願いね。」
「はい。」
nice!(2)  コメント(0) 

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。