SSブログ

九月-09 [高校生会議-07]

聡美さんの仕事は早かった。
それは、自分で多く考える前に、骨格だけをまとめて社員の意見を聞く様にとの助言を彼女が素直に受け止めてくれたからだ。
彼女は、提案の形で遥香コーポレーション全社員に発信、社内優先度は低くしたが高校生社員からの発信という事で注目を集めた。
その状況を父と確認…。

「お父さん、公開時から見ててくれた?」
「ああ、遥香の指示だからな。
休憩時間の暇つぶしにかなりのアクセスが有ったぞ。
社員達はワークシートの構築を手伝ったり、助言したり、システム開発部は部長の許可を得て登録のサンプルページその一を作成…、ほらこれだ。」
「開発部にとっては簡単なことでしょうね。」
「公開時シンプルだったワークシートがすでに婚活支援部(仮)として…、このままスタート出来そうな勢いだな。」
「履歴を見ると一人一人は仕事の合間の短時間で自分達の作業に支障はなさそうね。」
「まあ長時間作業していたらすぐに上司が指示を出すだろう、その為に各自が作業しているシートを上司が確認できるシステムにしたのだろ。」
「う~ん、休憩時間を使ってのサービス労働かしら?」
「いや、後輩の指導で息抜きだろう、聡美くんは普通に可愛いじゃないか。」
「あっ、彼女の指導担当者と今後の相談が進んでるわね。」
「新たな事業として進めるのか?」
「ええ、思ってたより社員に余裕が有りそうで嬉しいわ。」
「かなり増員してるのだろ?」
「それでも研修に時間が掛かると思ってたの。」
「そうか、新人がトレーニングの一環という形でアクセスし提案も有ったがシステムの基本は理解出来てる様だったな。」
「聡美さんはどう?」
「学校の休み時間にアクセス、授業後は作業終了を担当者から告げられるまで、ずっと張り付いていたみたいだ。
まあ、助言を素直に受け入れていた。」
「相反する助言はなかったの?」
「有ったが、それに対する対応の仕方は学生が助言していた。」
「彼女の判断は?」
「まだ、判断するレベルに至ってないと思う、事がもう少し進まないとな、彼女の力量はまだ分からない。」
「新規事業で彼女をどのポジションに置くかを急ぐ必要は無いわね、彼女抜きで進める事も有りかな。」
「トレーニングを始めたばかりなんだろ、今回の事だって少し荷が重かったかもしれないぞ。」
「そこは指導担当と相談してあるの、どの程度の力量でも無理なく、バランスを考えての指導を心掛けてくれてる筈よ。
ただね、彼女は合理的に考えた上で、進学ではなく就職を選んでるの、遊び半分で進学するより、早く自立したいと。
高校生会議での評価も高いのよ。
彼女が今後良い形で目立ってくれれば良い影響が広がると思ってるの。」
「分かった、私も気にかけておくよ。
ところで男子生徒は採用しないのか?」
「元々は女性をターゲットにして始めたでしょ、だから高校生の男の子では色々な意味でハードルが高いみたい、社員になって欲しいレベルの子は進学が多いしね。
支社では大学生社員計画を進めて貰っていて、多分男性が多くなりそうよ。」
「どうなんだ、遥香は婚活支援部が出来たら利用するのか?」
「そうね、姫になってから告白される事が無くなった、どさくさに紛れて好きですと言ってくれる人はいる、でも付き合って下さいって雰囲気ではないの、私、お嫁に行けるのかな?」
「そんな心配しないで、ずっとここで暮らせば良いからな。」
「ねえ、もし私がお嫁に行ったら泣く?」
「はは…、泣く訳ないだろ…。」

お父さんは泣くと思う。
コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。