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九月-04 [高校生会議-07]

会社創立式典などはテレビの情報番組で紹介された。
そのテレビ局関係者から一つの打診が有ったが、これには少し迷った。
情報番組内でプリンセス遥香のコーナーを設けてはという事だ。
現時点での売り上げ状況から考えると、余り目立ってしまうと売り上げがさらに伸び生産能力の限界を超える可能性が出て来る。
生産体制の混乱は避けたいが、有名ブランドの仲間入りをするチャンスでは有る。
ここまでグループ企業とも連携し、強気で生産能力を高めて来た。
だが規模を拡大するとリスクも大きくなる。
色々考えたが…。

「遥香、会社の方はどうだ?」
「うん、お父さん、強気で攻める事にした。」
「あっという間にでかくなったが、大丈夫か?」
「デザイナー達の力を信じる事にしたの。」
「成程、ブランドの商品が売れているのはデザイナーの力ということか。」
「勿論、プリンセス遥香のイメージ戦略が成功した事もあるわ。
でも、この先伸びるかどうかは商品その物を気に入って貰えるかどうかでしょ。
今の所の分析では、一度購入された方が次もと考えて下さる確率は低くないのよ。」
「製造は大丈夫なのか? すでに王国内に応援要請をしているのだろう?」
「今の所は喜んで頂けるレベル、余力の有り過ぎた工場と生産計画の調整をしているわ。
後は、潰れかけの縫製工場を買収する方向でね。
グッズ関連は余力の有る工場を選んで、そこで製造できるものをグッズとして売り出す様に指示して有るの。」
「王国内の無駄をなくすという事か。」
「ダブルワークの社長達も指示に従って動いて下さってる、少しぐらいの損失ならカバー出来る体制が有ると考えての強気なの。」
「それで、今後の展開は?」
「テレビ局からの打診に乗る事にしたわ。
情報番組内に週一回十分程度でプリンセス遥香のコーナーを年明けぐらいからスタート。
条件を煮詰めるのはこれからだけど、出演のメインは私と静香、脇は高校生会議から出て貰う。
こっちは、宣伝の為にお金を出すけど、出演料の形で一部を回収、視聴率に貢献出来ればギャラの交渉となるかな。」
「という事は、その十分は遥香の好きな様に出来るという事か?」
「まあね、局の担当は他の番組にも出れば、こちらの負担分はさらに回収出来ると話してたわ。
高校も中退するから、適当に広告塔になろうと思うの。」
「歌の話はどうなんだ?」
「そっちは岩崎のお母さまにお任せしてあって、レコーディングやテレビ出演もスケジュールに組み込まれてる、それが有るから、番組は年明けからにしようと思うのよ。」
「そうか、頑張ってるんだな…、私は会社で遥香さまのお父さんという立場が微妙なんだが。」
「何か問題でも?」
「皆が遥香の事知りたがってな、適当に誤魔化しているが。」
「適当に失敗談とか作る? 口裏は合わせるわよ。」
「岩崎本家からは美しさと知性でとの指示なんだろ?」
「少しぐらいは皆さんに楽しんで頂けるエピソードが有っても良いと思うわ、作り話しでも。
家族しか知らない事ならバレないわよ。」
「作るか…、遥香はほんとに卒なく育ったからな…、いっそ嘘かも知れないと思わせる逸話を作って、突っ込まれたら嘘でしたと白状するパターンにしようかな。」
「頑張ってよ、岩崎のお父さまと一緒にテレビ出演なんて事も有るかもだからね。」
「それは勘弁して欲しいが…。」
「ぼやぼやしてると、岩崎のお父さまは親馬鹿全開だから負けちゃうわよ。」
「う~ん、勝負なのか…。」

テレビ出演の話は結構来ている、だが、しばらくは商品の生産能力と売り上げを見ながらスケジュールを決める様に指示してある。
丁寧に製造している事もあって生産規模の拡大には時間が掛かりそうだからだ。
通販では、商品が届くまでに時間が掛かりますと告知しているが冬物が春に届く様では信用をなくす。
販売数を限定する事も考え始めているが、宣伝をして置いて売り切れましたというのも微妙では有る。
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