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イベント-01 [高校生会議-04]

プリンセス遥香が秋の本格スタートへ向けて動いている中、岩崎高校生会議第十七支部のイベントが始まった。

「優子さん、何か大変な事になってしまいましたね。」
「ほんとにどんどん話が進んでしまって、第十七支部創設以来最大のイベントになったとサポートスタッフの人達が話してたわ。
それだけに気合いの入れ方も半端なくて準備期間中有給休暇を使う人も結構な人数だとか。」
「会社の方は大丈夫なのですか?」
「会社側も失敗して欲しくないでしょ、なんせ各企業の重役クラスが長老会議に名を連ねているばかりか、国王とも言える岩崎社長がご夫妻で来て下さってますから。」
「よくこんな高校生向けイベントに来て下さいましたね。」
「遥香さまの噂は岩崎社長周辺でも盛り上がってるそうで、良い機会だから是非にと社長自ら提案してスケジュールを合わせて下さったのよ。」
「そうなのですか、では優子さん、そろそろ着替えに参りましょうか。」
「はい、お供させて頂きます。」

ホールの舞台は布を巧みに使う事によって、すっきりとお洒落な雰囲気に仕上がっている。
まず語り部が登場、岩崎王国の概要を簡単に語った後、国王が新しい王国に新しいしきたりを作り、美と叡智の姫を迎えるという、何とも設定に無理の有る話をもっともらしく語った。
これから恥ずかしくて買い物にも行けないと思いつつも、主役としての責務を果たすべく、普通の人なら結婚式でさえ着ないであろう衣装を身にまとい舞台中央へゆっくりと進む。
客席から上がる歓声を聞きながらも冷静だったのは、究極のお姫様ごっこもすぐに飽きられるだろう、なんて事を考えていたからだ。
ここからはピアノ三重奏の生演奏の流れる中無言で進められる。
言葉を入れると安っぽくなる、との意見を通させて頂いたが、自分のセリフを無くしたかっただけでなく、岩崎社長に余計なお願いをしなくて済むとの判断からだ。
ゆっくり歩いて舞台の中央に立ち、観客に向かって軽く微笑む。
私が、しっかり晒し者になったタイミングで国王、岩崎社長が登場、しっかりそれらしき衣装を身に着けて下さっているのには感謝の気持ちしかない。
一呼吸おいてティアラが国王の元へ。
国王はティアラを手に取ると脇に控えていた洋子に手渡す。
これは、王様が直接髪飾りを姫にというのは儀式的にどうかという意見が有ったからだが、それ以上に洋子をアピールしたいという声が多かった事による。
私の衣装はとことんお姫様という事で進められたが、洋子の衣装は男装から中性的なものまで色々な案が出たそうだ。
結局、長身の美少女の男装姿を見たいという声が勝利した。
国王からティアラを受け取った洋子は、ゆっくりと私に近づき跪いた後立ち上がり、私にティアラを着ける。
ここだけは、二人で鏡を見ながら練習した。
以前の洋子なら腰が引けていたと思うが、最近は色々な事に積極的に挑戦してくれる。
洋子の退場と入れ替わりで長老会議の人達が入場し跪く。
彼等もまた高校生のお遊びに付き合ってくれた訳だが、中には付け髭で長老っぽくして下さった方も、実のところは皆さんも楽しんで下さってるのかもしれない。
皆さんにご挨拶という形のポーズをとって、私の退場、儀式終了となった。
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