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プロローグ-06 [高校生会議-01]

まさか高校生になってお姫様ごっこの主役になるとは思ってもみなかった。
でも、先輩方は随分乗り気で、お芝居を演じるという気分なのだろうか。
気が付いたら食堂に特別な席が作られていて。

「さ、姫さま、こちらへどうぞ、姉御もこっちへ。」
「こらこら、優子の事を姉御と呼ぶのはお終いよ、全体のイメージを変えるのだから、これからは優子さん、いやお姫様の家庭教師を仰せつかるのだから名家の出、あなたの立場だと優子さまと呼ぶのが妥当ね。」
「了解、優子さまと呼べば少しは優しくしてくれるのかな。」
「あら、優しく踏みつけて差し上げましょうか?」
「い、いいえ間に合ってます、優子さま。」
「優子さんは男の子に厳しいのですね。」
「ふふ、気楽に告れない様にキャラを作ってるの。」
「あっ、そういう手が有ったのですね、私も…、お姫様キャラになれば、そっちの面倒は減るのかしら、相手を極力傷つけない無いようにお断りするのは大変ですよね。」
「ええ、でも最近は私に告った人が勇者と呼ばれる様になってしまって、勇者の称号を得る為だけの輩もいてね…、残念ながら、この人なら有かもという人に限って勇者を目指してくれないのよ。」
「優子さんは自分から行かないのですか?」
「そこまでの人とはまだ出会えていない気がして、今はどの男子とも仲の良い友達という感じかな。」
「私は、男の子の友達いないから羨ましいです。」
「その代わり家臣や僕が、これから増えますよ、さて、そろそろ時間、サポートスタッフへの対応お願いね。」
「はい。」

サポートスタッフからは可愛いとの声を沢山頂いた、こういうのには慣れっこになってるけど、今回は人数の多さと圧の強さに少し戸惑う事に。
でも、何時までも続く訳でなく…。

「優子ちゃん、シンボルとしてのお姫様は面白いと思うけど、ただのお遊びじゃないのでしょ?」
「はい、平等とは何かを考える機会にとか民主主義を見直すとかも考えています。
立憲君主制って、本当に君主は必要かを突き詰めたら要らない気もします、でも、王、又は王に代わる存在を求め、認め、敬う、そんな一面が人間には有るじゃないですか。
遥香さまは、高校生が社会制度を考えるきっかけになって下さるとも思っています。」
「確かにな、お姫さまの存在だけでみんな浮かれてる…、優子も何時になく明るいな…。」
「だって、可愛いんですもの、私のお姫さま。」
「確かにテレビで見るアイドルの中の、本当に可愛い子と比べても勝てるレベルだよな。」
「今後、どうして行くか私達も考えてみるけど、清音部長には話を通したの?」
「あっ、まだです、まずはご本人にお願いという段階なので。」
「分かった、後で俺から連絡を入れておくよ。」
「岩崎社長へは俺から報告させて頂く、企業でも岩崎王国を前面に出して宣伝してる所も有る、あっ岩崎高校生会議の本部へも…、企画書が必要だな。」
「基本的な事はまとめてみました。」
「おっ、仕事が早いね、どれどれ…、岩崎王国の一地方を治める領主の娘か、領主は架空の存在で病気がちを理由に人前に出ない、代わりに領民に心を配る優しいお姫さま、うん基本設定は悪くないね。
遥香さまにはまず自由に動いて頂いて、今後の企画でどう力を発揮して頂くかは試行錯誤。
容姿だけでなく、高い能力が彼女をプリンセスに選んだ理由だという事を周知徹底して行く。
うん、現時点ではこれだけでも充分だろう、遥香さま関連はまとめて記録して公開して行こう。」
「芸能事務所みたいな所に所属して貰った方が良くないかしら。」
「そうだな、このエリアには専門家がいないから本部とも相談してみるよ。」
「衣装は?」
「そっちは私が担当しても良いわよ、オリジナルをお願い出来る当てが有るから。」
「お姫さまだけでなく、その取り巻きもとなると費用が嵩むな。」
「作業実習を利用すれば安く抑える事は可能、後、普段着としても着られるデザインに出来れば問題ないと思うわ。」
「でも遥香さまだけは、一目でお姫さまだとイメージ出来るデザインにして欲しいね。」
「私、デザインしてみたいな。」
「高校生の衣装に関しての費用は、イベントの利益で何とかしたいね。」
「遥香さまと優子ちゃんの分ぐらいは遥香さまファンクラブで何とかなるだろう。」
「いつの間にそんなの作ったんだ?」
「勿論、たった今出来たばかりさ、お前も入会するだろ?」
「当たり前だ。」
「ではファンクラブは俺達に任せろ、来週から正式募集出来る様に準備を始めるから。」
「衣装が完成したら撮影は受け持つよ、スタジオで写してファンクラブでも、岩崎王国の一員としては利益を考えたい、その辺りは清音部長や遥香さまとも相談する。」
「そうなってくるとマネージャーが必要じゃないかしら。」
「今後の事業規模にもよるか…、高校生の実習の一環として芸能事務所を設立してみるか?」
「俺、今から清音部長に連絡入れてみるよ。」
「俺は芸能事務所について調べてみる。」
「衣裳も早い方が良さそうね、サポートメンバーで服飾系の人を集めて打ち合わせを始めるわね、興味の有る高校生と一緒に。」
「じゃあ私は…。」

う~ん…、私の目の前でとんでもなく話が進んでいる、お姫さまになったと思ったら芸能人になるのかしら、でもモデルになるには身長が足りないと思う。
なんて他人事の様に考えている私がいた。
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