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157-披露宴 [岩崎雄太-16]

披露宴は結婚式の翌週、盛大に執り行われた。

「思ったより二次会に残った人多いな。」
「さすがに結衣さんのお知り合いは芸達者ばかりというかプロばかりだもの、この後のプログラムを知っていたら簡単には帰れないわ、ひいお爺さまはさすがに帰られたけど、お爺さまもまだ楽しんでお見えでしょ。」
「披露宴ってもっと長いものかと思ってたがきっちり二時間で終了したな。」
「途中退席という事は失礼と考えられているそうでね、でも今回は撮影の関係も有って長くやりたいじゃない、それで一旦区切って、そこからは自由参加の二次会扱いにしたのよ、何時でも帰れるのは疲労宴にしない為の配慮でもあるの。」
「そうか、確かに宴会でも長引けば疲れるだろうな。」
「でも撮影の関係で空席は増やしたくない、という事でホールを手伝った私達が、お客様に早変わりという事情よ。」
「準備が大変でそこまで意識が回ってなかった。」
「私達が抜けた部署へは別室のモニターで披露宴の様子を見ながら食事してた人達が入ってくれたから安心してね。」
「自分はただのホール係として応援に呼ばれた形だけど、撮影も有って、この規模だと本当に大変なんだな。」
「でも、大好きな譲治兄さまと結衣さんの披露宴、みんな喜んで準備してきたの。」
「その気持ちは俺だって同じさ、来られて良かったと思ってる、留美とも久しぶりに会えたし。」
「うん、留美はしばらく見ない内に一段と綺麗になったな。」
「有難う。」
「今、付き合ってる奴とかいるのか?」
「いえ、空き時間は自分のトレーニングに充てて来たから。」
「おいおい、お前ら、留美が戸惑ってるだろ。」
「いや、俺は留美に会いたいと思って有給使ってだな。」
「君達、ここには留美だけじゃなく弘美さんもいるのよ。」
「弘美さん? 誰だっけ?」
「私よ! 訓練校で一緒だったでしょ。」
「お前…、また太ったのか…。」
「島根にいた頃は小太りのおバカだったのが…。」
「健康に気を付けろよ、悪い事は言わん。」
「う、うん、留美、心配されちった。」
「普段から言ってるでしょ、食生活を見直さないとだめって。」
「御免、弘美、俺にとっては留美との貴重な時間なんだ、なあ留美、俺と付き合ってくれないか?」
「断じて許さん、留美はお前ごときが付き合える相手ではない。」
「そうだぞ、留美は俺とだな、な。」
「ちょっと待って、三人から告白されて微妙だけど、あなた達もドラマは見てるのでしょ、あの場に私の彼氏役として加われるだけのものを持ってるの?」
「い、今はまだ…。」
「(仮)の取れたばかりの、岩崎結衣一座は甘くないの、もう素人のお芝居ではない、だから私達は必死の思いでトレーニングに励んでいるのよ、私だって大勢の方に応援して頂いてる立場なのよ。」
「という事で、留美とお付き合いするのは簡単ではないのです~。」
「まあ玉砕覚悟では有ったが、こいつらに取られなかっただけでもよしとするか、ずっと応援して行くよ、留美。」
「そうだな、留美の真剣な思いも聞かせて貰えたし。」
「では、三人でやけ酒と行くか。」
「最愛の留美にかんぱ~い。」
「かんぱ~い。」

「君達、今のシーン放送で使っても良いかな?」
「えっ、え~!」
「もちろん断れないわよね。」
「しまった~、そうと分かってればもっと恰好良いセリフ用意したのに。」
「だめよ、それじゃあリアルじゃなくなってしまうもの。」
「まあ最愛の留美ちゃんとの良い思い出になるだろ、確定したら連絡を入れるよ。」
「はい…。」
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