SSブログ

146-告白 [岩崎雄太-15]

結衣が合流して一週間ほど過ぎた日の夜。

「譲治さん、この一週間で少し皆さんと馴染めた気はしてます。」
「結衣さんの演技力にみんな驚かされたみたいですね、女優の力を目の当たりにして。」
「譲治さんの提案通りに動いただけです。」
「部外者を役者として尊敬する形で受け入れさせる事に成功しました、しかし、役の上の事とは言え自分への事はいささか…、週刊誌が喜びそうなネタは、どこから漏れるか分かりませんよ。」
「御免なさい、でもライバルがいたら早めに決着を付けて…、私は完全にアウエイじゃないですか、皆さん譲治さんの事大好きで…、でも…、今、お付き合いしてる方いないのですよね。」
「まあね、みんなのお兄さまになってしまったからな。」
「私、本気で好きだから、マンションも引き払って来たのです。
直接はなかなか言えなくてファミリーの皆さんに話してましたが…、大好きなんです。」
「有難う、こんな旅暮らし、しかも日常を堂々と撮影されてる環境で落ち着かないだろうけど…、俺は演技に関して素人だから、より感情移入し易すそうな人を選んだ訳さ、俺と付き合ってくれるか?」
「うわ~ん…、おねがいじまず~。」
「おいおい、泣き過ぎだろ、そんなに泣いたらメイクが…。」
「御免なさい…、今日まで頑張って良かった…。」
「結衣さんなら、もっと良い男とでも簡単に付き合えそうだと思うけどな。」
「譲治さんが最高なんです、譲治さんは大きな仕事を成功させる人、人望も厚い、未熟な私を成長させてくれる、そんな人。」
「随分過大評価な気もするが。」
「女の感、でも私はこの感のお陰で主役を張れる女優になった実績が有ります。」
「そうか…、あ、もしかしてメイクしてなかったの?」
「素顔で好きな人の前にいられるのはこの先長くないかもしれませんが、まだ若いですから。」
「うん、綺麗だよ。」

「何か夢みたい、ふふ、でもこのシーンもドラマに入れないとお話が盛り上がらないのかしら。」
「結衣が泣く所も? 普段の演技とのギャップが大きくて他人には見せたくないのだけど。」
「ドラマで撮る時は綺麗に演じますよ、イメージを作りましょうか。
でも何時も演技してる訳ではないですよ、今までだって譲治さんの前では素顔の神楽坂結衣でしたからね。」
「そんなに気にしなくて良いよ、舞台に立っていない人でも、普通に演じてる時は有ると思ってるから。」

翌日、譲治はメンバーに対して神楽坂結衣と付き合うと宣言した。
変な憶測で惑わす事を避ける意味合いも有ったが、ファミリーのストーリーが大きく変わって行く事になるからだ。
コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。