SSブログ

117-門出 [岩崎雄太-12]

出発してからの三日間は小規模なライブを幾つもこなした。
会場は町の公民館や小学校の体育館をスーパー銭湯の客達が準備してくれた。
歌の伴奏はホールの舞台に立っている人達が交代で。

「聡志、この三日間半端なくカンパを頂いてしまったわね、現金はこまめに銀行口座へ入れてるけど緊張したわ。」
「正平の門出を祝ってくれるという感じだったもんな、それでも経費を考えたら大した利益とは言えないのだろ。」
「そうよね、スタッフの人件費とか宿泊費とか考えたら…、すでに私の金銭感覚の限界をはるかに超えてるのよ、不足分はスポンサーが負担してくれるとはいえ…、何とか慣れなきゃだけど。」
「京子の気持ちは分かるよ、里美姉さんなんて、たかが一千万されど一千万なんて平気で話してるもんな、たかが千円されど千円なら違和感ないけど、慣れて行かないと大きな仕事は出来ないって事だね、まあ明日からは正平関係の現金収入は減るとは思うが。」
「知らないお客さんばかりになるのよね、スーパーの駐車場でどれだけのお客さんが足を止めて下さるのかしら。」
「最悪スタッフだけになる事も覚悟しておくよう正平には話して有るが、会場設営準備とブランド品販売コーナーの設営に入った連中はCDやDVDを流したりして宣伝をしてくれてる筈だし、一週間前にはポスターも貼らせて貰ってる、選曲はスーパーの客層に合わせてある、後は正平の歌声を受け入れて貰えるかどうかだな。」
「進行はこの三日間で一番受けの良かった、勝次と綾香に頼んだわ、手の空いたスタッフは全員モデルのつもりで立つ様に念を押した。」
「仮設の販売コーナーでは一週間、Family IWASAKIブランドの商品とCD、DVDの販売、明後日がテレビ放送の初日だから、明日売れなくても明後日以降売れる可能性もある、何とか黒字になって欲しいとこだけど。」
「テレビの方は始めの一か月間、週三回ペースでの放送が確定したそうよ、宣伝効果が大きいかも。」
「そうか、今は正平もFamily IWASAKIも多くの人に認知して貰えるかどうかの時だからな。」
コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。