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114-CD [岩崎雄太-12]

正平がスーパー銭湯のホールで人気者になったのは観客からのリクエストに応えた事が大きいだろう。
客からの要望に応え練習し次の舞台で披露、彼が生まれるうんと前の曲も多かったが、歌い易いのか自分のものにするのは早かった。
CDには彼のオリジナル一曲と懐メロのカバーを三曲を収録した。
独特な世界観を持つオリジナル曲、若者の知らなかった昔の名曲は共に世代を超えて評価された。

「聡志、CDの追加どうするの、今のペースだとすぐ売り切れてしまうわよ。」
「そうだな、思い切って一万枚追加でどうかな、京子、里美姉さん何か言ってなかった?」
「とりあえず二万枚までなら残っても何とかするとは話してたけど、強気過ぎないかしら?」
「ネット配信なし、中高年にも受け入れて貰いやすい選曲…、売り方も関連する観光地と関連企業の購買部と通販が中心、無名の新人なのに一万枚があっという間に売り切れそうで、追加注文が来ている…。」
「う~ん、そう考えると二万枚でも無理はないのかな、これからの展開もあるし。」
「そうだな、すぐ連絡入れるよ。」

「衣装の方はDVDの制作に合わせて一通り出来たそうよ、これは聡志の仕事着として実習生が縫ってくれた分、追加注文は安く請け負ってくれるそうよ。」
「仕事着っていっても、お洒落な感じだな…、うっ、微妙に京子が着ているのと…、二人の関係がバレてしまわないか?」
「もうバレてるし、スタッフがこれ着て集まったら普通にチームの仲間よ。」
「何だ、二人だけ特別という訳でもないのか…。」
「ふふ、正平と史枝は工房のお姉さま方の力作だから二人だけ特別になってるわ、DVDの制作スケジュールに合わせて、普段は平和な工房がピリピリしてたってさ。」
「続けて販売用の制作に入るんだろう、大丈夫かな。」
「これからは手慣れた作業でもあるし前のペースに戻すそうよ、岩崎村のデザイナーとも今回の作業で充分な意見交換が出来たそうだから、休みを合わせて金沢辺りで女子会を開く計画も着々と進んでいるとか。」
「忙しかったんじゃないのか?」
「それでも進めちゃうのがお姉さま方のパワーなのよ、見習わなきゃ。」
「はは、京子も随分逞しくなったと思うがな。」
「のんびりしてられないのよね、DVDが完成したら二枚目のCD作成やツアーでしょ、史枝が色々考えてるからスケジユールは勝手に決まって行きそうだけど、宿の手配とか早めに動かないと…、専用バスで車中泊の連続なんてきついわ。」
「みんな長い旅なんて初めてだからな…、里美姉さんはのんびり気分が調度良いって話してくれたけど、遊びじゃないし。」
「週休二日はきちんとしてね、でないとスタッフからブーイングの嵐になりそうだから。」
「ああ、史枝からのスケジュール情報は早目に教えてくれな、それでも旅立ってからの変更も多そうだろ、交代で休みを取るにしても京子と交代で休みを取ってたら…、絶対里美姉さんに怒られる。」
「そもそも私達の事知ってて組ませてくれたのだからね。」
「頼りになる部下を育てる事が大切だって言われてはいるが、今のスタッフはちょっと頼りなくないか。」
「私達だって経験が浅いからね、でも、まだ時間は有るわ、今から頑張って間に合わせましょうよ。」
「うん…、そうだな、失敗しても良いからみんなで成長しようって、里美姉さん話してたもんな。」
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