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107-チーム [岩崎雄太-11]

二週間ほど後、幸次は正平が歌う簡単なビデオ映像を完成させ里美に見せた。

「幸次、良いわね、こんなレベルとは思ってもいなかったわ。」
「でしょ里美姉さん、びっくりですよ、あいつ不器用な奴だと思ってたら歌に関しては全然違って…、もしかすると元々歌手になりたかったんじゃないですかね。」
「だから、職業訓練に身が入ってなかったのかしら。」
「どうでしょう、オーデションには乗り気になってます、ただ、この演奏ではカラオケを使っていますが、あいつの良さが前面に出てなくて、もっと違う演奏で歌わせた方が良いんです。
かと言って健介達の素人バンドでは技術的に、健介自身がもっと上手なバックバンドで表に出してあげたいと話しているぐらいでして。」
「幸次は正平の才能をどれくらいのレベルだと考えているの?」
「周りを優秀なスタッフで固めたら、それなりに行けると思います、まあ自分も素人なので業界の人がどう判断するか分かりませんが。」
「そっか、簡単にプロと接触出来ない田舎のハンディが出てしまうのね…、歌に関しては器用なの? 正平は。」
「そう感じました、カラオケと健介達とでは、同じ曲でも随分違う仕上がりになりましたから。」
「バックを三味線とかってどうかしら?」
「えっ?」
「曲もJポップに拘らずに民謡とか懐メロとか幅広く挑戦出来ないかな。」
「あっ、スーパー銭湯の客は高齢者が多いから…。」
「ええ、それも有るけど三味線なら先生レベルの人に心当たりが有って、オーデションにも参加して頂こうと考えていたの、彼女を通せば他の楽器も、まあ高齢者ばかりになるかもしれないけど。」
「正平がどう判断するか分かりませんが相談してみます、一度会ってみたいですが。」
「相手は暇な人ばかりだから君達の都合に合わせて下さると思うわよ、スーパー銭湯の無料チケットを差し上げれば喜んで来て下さるでしょう。」
「そうなって来ると…、音楽的な部分は工房の佐伯さん辺りに相談かな、彼のオリジナルをアカペラで録音したのを聴かせて貰ったのですが、編曲とかしないと…、高校時代の同級生ならピアノ習ってる子がいましたが、ここの仲間にはいませんから。」
「分かったわ、この映像も見て貰う様に、う~んチーム正平のまとめ役が必要ね。」
「俺か史枝ですか?」
「史枝はだめ、他でこき使う予定が有るから、君にはサブになって欲しいわ、メインは京子か聡志ぐらいでどうかしら、明日の夜集まって貰って相談しましょう、連絡は幸次も手伝ってね、良いでしょ?」
「はは、姉さんに逆らえる訳ないですよ。」
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