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104-史枝 [岩崎雄太-11]

スーパー銭湯の開業をきっかけに他の店舗も売り上げを伸ばしている。

「里美姉さん、好調ですね。」
「そうね、でも、しばらくしたら落ち着くでしょう。」
「新規オープン効果は続かないという事ですか?」
「ええ、それは仕方ないわ。」
「そうなると営業的に厳しくないですか?」
「それは計算の内に入ってるし定期的にイベントを仕掛けて行くから大丈夫でしょう、厳しくなりそうなら別で策を講じます。」
「うちは、実習生も多いですし、時給も地域の相場より良いですから人件費が通常の商業施設より負担になっていると思いますが。」
「それも計算の内に入ってるわ、う~ん、でも、ここは何と言っても借入金がないから経営の参考にはしないでね。」
「そうなのですか、私は学習を始めたばかりで何も分かってません。」
「ここはね何もかも甘くてぬるいのよ、ある程度の知識を身に付けたら、厳しい現実研修も経験しましょうか。」
「は、はい。」
「県内の主な事業所にはご挨拶を済ませてあるから、そうねこれから個人経営レベルの小さい会社とも新たな関係を模索して行くから、史枝はそこで経験を積もう。」
「はい、お願いします。」
「お父さまはお気楽なのよ、まずはこのエリアだけど将来的には県全域の活性化、いや中国地方全域を何とかしようよって、それも人口密度が低くて過疎化が進んでいるここを出発点にしてなのよ。」
「それを里美姉さんに?」
「もちろん一人では無理だから、ふふ、何人か密かに巻き込んでいるけどね、本人も全体像を理解していない状況で。」
「わ、私はごく平凡な人間で…。」
「だから、きちんとフォローするわ、でも気付いた事があったら遠慮せずに教えてね。」
「は、はい。」
「実際ね、大学の連中は考え過ぎる面も有るのよ、それで物事が見えなくなってたりするんだな。
その点史枝は、あの良く分からない正平を手なずけている、それだけでも尊敬に値するわ。」
「はは、しょ、正平はただの馬鹿ですから…。」
「彼は何か読めない所があって、ただの馬鹿か大物かどっちか、ふふ、どっちになるかは史枝次第かもよ。」
「あっ、はい…、人とはペースが違うけど優しくて暖かい、でも過去を引きずってるのかと感じる事も有ります。」
「そうか、時間が掛かるかもしれないけど、これからもよろしくね。」
「はい。」
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