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97-投資 [岩崎雄太-10]

吾郎や亮の漁業体験の後、職業訓練の一環として五人が漁船で働く様になった。

「里美、漁師見習いの連中はどうだ?」
「きつそうですが頑張っています、漁師さんに言わせると体が慣れるまでの辛抱だとか、でも若いから時間は掛からないだろうと。」
「そうか、きつい部分は機械化とか出来ないのかな。」
「出来なくはないです、実際,、昔に比べたら随分楽になったそうです、でも漁船だって安くないし、さらなる投資は耐久性とか考えると二の足を踏んでしまうとの事で。」
「塩水は機械の敵だろうな、漁業の安定化に策は無いのかな?」
「養殖という選択肢も有りますが、リスクが無い訳では有りません。」
「相手は生物だからな…、でも株式会社岩崎で漁業に取り組んでみる事はどうだ?」
「漁船を購入、養殖施設を整備する場合のシュミレーションは幾つか出来ていますが、初期投資をどれくらいで回収出来るかが読めなさ過ぎて、リスクとリターンを見極めて行くには、どんな漁法でどんな魚を狙って行くか、養殖するなら魚種に取り組むかが問題で、漁師さんの意見も聞いてはいるのですが、まだ結論は出ていません。」
「研究機関とは?」
「はい、養殖に関して協力関係を作るべく動いています、岩崎の娘で有る事は最大限に利用させて頂いていますよ。」
「よろしい、ではハイリスク覚悟で漁業に投資してみようか。」
「はい、では漁船を製造している会社と資本提携して、そこへグループ企業からの応援要請の形を取って良いですか、単なる応援でなく他への応用を意識しています。」
「ああ、佐山を通してくれれば問題ない、佐山が渋ったら私から話を通すからな。」
「養殖システムはスーパー銭湯とも絡めて、養殖中の魚を見せる事も考えています、胃袋へ直通でなく目でも楽しんで頂いたり、絶対釣れる釣り堀も検討しています、ただ…。」
「どうした?」
「試算ではちょっとお高くなってしまいそうで。」
「初期投資が嵩んでも回収できれば問題ない、十億で収まらない様なら企画書を私に見せなさい、上限は二十億ぐらいだな。」
「十億で収まります。」
「なら任せるよ。」
「はい。」
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