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94-漁業 [岩崎雄太-10]

里美が話を続ける。

「後、お父さまに一つ相談しておきたい事が有りまして。」
「どうした、彼氏でも出来たのか?」
「違いますよ~。」
「違うのか、そろそろ娘を嫁がせる親の気分ってのを味わってみたいと思っているのだが。」
「そんなの、妹の誰かがすぐにでもって…、娘と息子が結婚という稀有な体験が待ってるじゃないですか。」
「はは、そうだったな、で、相談というのは?」
「はい、このエリアの調査過程で後継ぎがいないとか、息子は都会から帰る気がないとかの声を幾つかか耳にしまして。」
「どこの過疎地も似た様なものなんだな。」
「それで、村人たちとマッチング出来ないかと。」
「良いと思うよ、血縁が無くても、否、血縁がないからこそスムーズに行く可能性も有る。
結婚を考えてる様な大人達だけでなく、職業訓練生、条件が合えば養護施設の子も含めて、お年寄りとの生活を体験してみる機会を作ってみる事は悪くないな。」
「ですがトラブルの可能性は排除出来ません。」
「里美、親族間にだってトラブルはつきものなんだろ。」
「はい。」
「だったら、試してみる事に何の問題もない、失敗して法的な問題が発生したら顧問弁護士に任せれば良い、私に相談という事は勝算があるのだろ。」
「ええ、まずは家事の手伝いとかから始めてお互いに慣れて貰います、始めから固定的に考える必要も有りませんから、集団お見合いというか、ゆったりとゆっくり始めて、お互いが気に入ったなら、少しずつ付き合いを深めて行くという形を考えています。
ダイレクトに職業訓練生を養子にして頂くとかも有りですが、漁師さんの後を継ぐのは抵抗が大きいと思います。」
「そうだな、漁業は我々にとって未知の分野だ、それでも体験プログラムを組めばそこから…、漁業体験を観光に組み込む事も考えてみてはどうだ?」
「はい、そうですね…、いきなり大々的に始める必要もないです、まずは漁師と交流してみたい人を村で募ってみます。」
「新鮮な魚が手に入り易くなれば食堂のメニューも充実させられないかな。」
「ですね、漁師の経済状況も調べてみます、何か大変そうなイメージしかなかったので、まずは漁師さんとの交流から始めます。」
「そうだな、焦る必要はないからな。」
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