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80-情報 [岩崎雄太-08]

程なくして別荘を訪れたのは地元のお年寄り達。
手土産替わりの野菜を祥子に渡し、明香と歓談。
長くなりそうだったが、まとめ役が気を使って切り上げてくれた。

「祥子ちゃん達は随分可愛がられているのね。」
「はい、でも初めてお会いした頃は戸惑う事ばかりでした、お爺ちゃんやお婆ちゃんに甘えるつもりで良いと言われても、そんな経験有りませんでしたから。
それでも職業訓練の一環として家事や菜園のお手伝いをさせて頂いたりする内に仲良くなりました。」
「そうなんだ、戸籍上やシステム上でみんなのお爺さんお婆さんになる人達は裏で支えて下さるけど…、御免ね、私達は形式的な家族としてしか向き合えなくて…。」
「いえ、そんな…、私達はお父さまとお母さまのお陰で、将来の不安もなくここで学習させて頂いています、これ以上を望んだら…、ふふ、権蔵爺さんだったら、ばちが当たるって言うと思いますよ。
本当に心の支えが必要な小中学生は村の人達が支えてくれています、みんな私の弟や妹なので私達が支えてあげたいのですが力不足で…、人生の先輩に頼っています。」
「そうよね、それで良いのよ…、あっ、お肉は?」
「もう直ぐ届くと思います、調味料や他の食材もまとめて買い出しに行ってます。」
「では、野菜から準備しましょうか。」
「はい。」

「ねえ、これからこの家も含めてだけど色々なルールを決めて行かなくてはならないでしょう。」
「そうですね、寮のルールは有りますが。」
「それでね、情報の共有をお願いしたいの。」
「どういうことですか?」
「一つの提案を五十人別々に伝えていては効率が悪いし、祥子ちゃんだけに話した事でも子ども達全員が知っていてくれると良いかなって。」
「分かりました、ここへ来た時全員携帯を持たせて頂きましたから、皆と相談してすぐにでも始めます。
私達から、お母さまへの連絡はどうすれば良いですか?」
「専用の携帯がもう直ぐ届く事になってるから届いたら教えるわ、電話は緊急時のみでお願いね。」
「もちろんです、メールだって…、あっ、他のお母さんとはどんな形でお付き合いすれば良いのですか?」
「基本、就職先の近くの方になる予定なの、まずはメールのやり取りから始めて…、そうだ祥子ちゃんは岩崎村だから、もう十六人お母さんがいるのよ、そこから一人を選ぶも良し三人ぐらいと付き合ってみるも良し。
岩崎村のお母さん代表と、どのSNSを使ってどんなやり取りをするか後で相談しましょう。
職場の情報だって教えて頂けるかもよ。」
「それは嬉しいです。」
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