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79-別荘 [岩崎雄太-08]

福祉村に建てられた岩崎夫婦の別荘は二階建ての広々とした母屋と、こじんまりとした離れからなる。
母屋の一階は広いリビング、三十人程度のパーティーが開けるほどの広さ、二階の客室も三十人が泊まれる様に設計されているが和室をフルに活用すればもっと多くの宿泊も可能になっている。
離れは、セキュリティーがしっかりなされ岩崎夫婦以外が立ち入る事は許されていない。
食堂での歓迎会翌日の午後、明香は祥子とキッチンにいた。

「冷蔵庫、大きいんですね。」
「一応十人位が使う事を想定したの、でも今後の展開次第では足りないかもしれないわね。
ささやかなパーティーだって出来る様にしたいけど、冷蔵庫や冷凍庫がどれぐらい必要になるかは、祥子ちゃん達や弟、妹次第になるでしょ。」
「そうですね、食堂の冷凍庫にはまだ余裕が有りそうですから、無駄が出ない様バランスを考えないといけませんよね。」
「ええ、でも必要だと感じたら遠慮せずに教えてね、他の物もそうよ、何でも無条件で買ってあげる事は出来ないけど。」
「あっ、自動車有難う御座いました、仕事で必要になるだろうと言われて免許を取らせて貰った連中、とっても喜んでいます。
最近では自信がついたのか、町まで乗せて行ってくれる事もあるんですよ。」
「台数は足りているのかしら。」
「交代で乗っていますから大丈夫だと思います。」
「祥子ちゃんは特定の誰かとドライブしたいとか思わないの?」
「えっ、それはその…。」
「正直でよろしい、免許取りたて練習用は多少ぶつけても気にならない様な安い中古車なの、買った頃は子ども達の為なんて感じじゃなかったけど、そうね軽自動車ばかりではなく多少大きい車も経験しておいた方が良いかもね、事故だけは気を付けて貰わないと困るけど。」
「はい。」
「祥子ちゃんも岩崎村で修行するのなら免許が有った方が楽よ、お父さんと相談してみたら。」
「は、はい。」
「でも、その前に今日の食材を揃えなきゃね。」
「はい、そっちはもう直ぐ、あっ、外に出ましょう、呼び鈴を押すなんて事を知らない様な人が来ますから。」
「え、ええ。」
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