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78-歓迎会 [岩崎雄太-08]

岩崎夫妻を迎えての歓迎会は食堂で行われた。

「それではみんなのお母さんだ。」
「明香です、よろしくね、お母さんと言ってもそれらしい事はあまり出来そうになくて御免なさい。
でも、困った事とか悩みが有ったら相談してね。
ただ、相談に乗るのは私の友達になるのだけど、子どもが多いからお母さんも沢山必要でしょ。
私はお母さんの代表ってとこかな、今日は五十人だから一人ずつとの挨拶は簡単に、明日からは時間をとってお話ししましょうね、では食事しててね、まずは…、あなたが翔太くんね、木工細工はやっていけそう?」
「はい、師匠が優しいのでこのままここの工房で働くつもりです。」
「田舎暮らしも苦にならないのね。」
「はい。」
「君が雄三くんか、竹細工は難しくないの。」
「やり始めたら楽しいです、師匠と相談して新商品も考案中なんです。」
「どんな商品が出来るか楽しみにしてるわよ。」
「はい。」
「知恵ちゃん、いつもみんなの取りまとめ有難うね、雄太も助かっているわ。」
「いえ、大した事してないです。」
「健一くんと一緒だから、岩崎村へ引っ越しても大丈夫よね。」
「はい。」
「あなたが祥子ちゃんね、明日の夕食、美味しいの作ろうね。」
「はい。」

五十人との顔合わせの後、有志による歌や踊りが披露され終了となる。

「なあ、俺達名札付けてないよな。」
「お母さまがみんなと話し始めた時、しまった~って思ったわ、名札ぐらい用意しておけば良かったって。」
「でも全員の名前と所属を覚えていらしたわね、私なんか未だに全員の名前覚えていないのに。」
「それはそれで問題だぞ、親父さんが学生で起業する時に手伝ったと聞いていたが、綺麗なだけでなく、それだけの能力をお持ちの方だったんだな。」
「みんな気付いた、お母さまがお話しになる時、誰一人容姿の話題に触れなかったし、健司が落ちこぼれ気味ってご存知みたいなのに踏み込まれなかったことに。」
「健司に関しては、これから指導が有るかもだけど、確かに祥子は必ず可愛いって褒められる、健一は背が高いって、別に良いと思うけど、お母さまは口にされなかった、皆を平等に扱いたいと考えてらっしゃるのかもね。」
「お母さんも沢山必要でしょって、さらって言われたけど、私、相談してみようかな。」
「何の相談、私でも良ければ相談に乗るわよ。」
「絶対だめ、あなたに相談したらすぐ全員に知れ渡ってしまうじゃない。」
「はは。」
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