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73-職業訓練 [岩崎雄太-08]

ある日、佐山は。

「谷川社長、色々調べてみたのですが、児童養護施設の大きな問題は高校卒業後の行き場です。
施設に居れば衣食住は何とかなっても、多くの若者が親の庇護下に有る十八歳の時点で自立を求められ苦労している若者も少なくない様です。」
「そうか、そちらを優先するべきなんだな。」
「はい。」
「佐山くんには具体的な策が有るのかな。」
「全寮制の職業訓練校は如何でしょうか、村で学んで卒業後は就職で村を離れるにしても、仕事が上手く行かなかったら村へ帰って来いとか、もちろん村で働いても良いです。
村人達が資格を身に付け、都会へ帰る選択肢を持つ機会として、というのも有りではないでしょうか。」
「保育の専門学校も併設して、児童養護施設の子を実習で面倒見させよう、今から動いて来年の春に間に合うのか微妙だが何とかさせるよ、別で担当を決めるから連絡を取ってくれな。」
「はい。」
「それと、養護施設の担当からは、住む場所を変える必要性を職員が感じている子達と話し合い、田舎暮らしを希望する子から受け入れると報告が来てる、高校生は通信制になるが、学習の補助は村人がしてくれるそうだ。」
「建物が完成したら、すぐ引っ越しですか?」
「そうなるのかな、職員の確保は出来てるが、役所との調整に時間が掛かるのかもしれない。」
「調整は所長だけで大丈夫でしょうか。」
「彼は余裕を持って働いているよ、冷静に全体を見てるからね、人が必要なら相談して来るし、要所要所を押さえつつ、人に任せるべきところを心得ている人だからね。」
「自分はまだまだという事ですね、まずは村人が利益を上げて、安心して株式会社岩崎に正規雇用される様に頑張ります。」
「入村から一年間、真面目に働けば正規雇用という話は、上手く伝わったのか?」
「はい、所長によればみんな喜んでいるそうです、胸を張って養護施設の子と向き合えると。」
「金銭面より精神面で支えてあげて欲しいな、金銭面は岩崎社長の方で支援システムを構築中だからね。」
「さすがに大金持ちは違います。」
「はは、あの人の資産は売る訳には行かない株がほとんどだからね、まあ、親子揃ってヘリには金を使っておられるが…、職業訓練校の話は早めに相談して話を進めるからな。」
「そちらは時間を掛けても良いのでは有りませんか、準備が色々大変かと。」
「佐山、もう少し考えないとだめだぞ、今現在将来に不安を抱いている若者が多くいるというのが現実なら一刻も早く動いてあげないとだめだろ。
私的な職業訓練施設なら法的な制約が少ないと思うから、金は掛かるが、まあみんなで稼いだ金を正しく使って世の中を良くしていこうじゃないか。
もう一つは福祉村の大人達の心情だ、バックが頑張ろうとしている姿を見せる事で大きな影響を与える事が出来ると思わないか。
組織を固めて行くには、人の心を同じ方向へ向ける事が必要だ、所長はよくやってくれてるが、そこに村人の心を動かす企画が持ち上がれば福祉村はより成長するだろう。」
「人の心理ですね、確かに始めから大規模な訓練施設と考えなければ、教師と設備とカリキュラムですか。」
「まあ、何とかしてくれそうな人に任せる訳だがね。」
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