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72-協力 [岩崎雄太-08]

福祉村の案件には佐山の協力要請に対して多くの社員が応えた。
コンサルタント会社で大きな実績を上げている連中の事、様々な提案が出されただけでなく協力企業も見つけてくれた。

「先輩有難う御座いました、お陰様で村の竹林も生かせますし村人達の仕事も充実できそうです、所長も喜んでくれました。」
「竹は素材として見直されているんだよ、中小企業を侮るなよ、佐山。」
「はい。」
「それで、児童養護施設の話はどんな感じだったんだ?」
「はい、発端は夜の飲み会だったそうです、酔った勢いで自分の過去を話す人の中に施設で育ったという人がいたそうで。
村人達は子ども時代が恵まれていたら、ここにはいないと話す人が少なからずいるそうです。
その頃は縫いぐるみプロジェクトがスタートしたばかり、試作品を児童養護施設に贈りたいって話が出ていて、それもあってか、面倒見て貰う立場から面倒を見る側に成りたい、それが自分の再生になると話が進んで、施設を村にとなっていったそうです。」
「そうか、俺達がどんなに自分の仕事を頑張っても…、そこを何とかしないと日本は良くならないのかもな、貧困が次の貧困や犯罪へ繋がる、佐山、これからも応援するから頑張れよ。」
「は、はい。」
「児童養護施設だって十年後二十年後に向けての投資と考えれば安いもんだ、金の心配は俺達に任せろ、お前は情報を滞らせるなよ。」
「はい。」
「そうよ、佐山くんは私達が気になってた情報を独り占めにして、まさか私が守秘義務を守れないとでも思っていたのではないでしょね。」
「ないです。」
「企業の再生は余程の石頭が邪魔しない限り、さほど難しい事ではないのよ、でも廃村の再生は簡単な事ではないし、ましてや利益に繋がらない施設の設立をどうまとめていくのか大変だと思うわ。
そうね、子どもを守っているのは村人達という形を作る事が大切、私達は黒子に徹して見守って行きますからね。」
「は、はい。」
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