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63-お手本 [岩崎雄太-07]

岩崎家のリビング。

「雄太、明日は大学よね、向こうの最新ガイドマップが届いてるわよ。」
「出来栄えはどうだ。」
「見やすくて良いと思う、それにしても廃村復活に取り掛かった頃と比べたら随分発展したわね。」
「ああ、でもただ発展させただけでなく色々工夫がなされているそうだよ。」
「どんな?」
「一つの施設だけで観光客が一日楽しめれば無駄に道路が混む事もないがそんな施設ばかりではない。
かと言って複数の施設が一か所に集中し過ぎていては混雑してしまう。
距離を取れば無駄に道路が混む事に。
程よい距離でバランスの取れた配置をして、施設間を楽しく歩ける様に店の配置や景観に配慮しているそうだよ。」
「なるほどね、新しい住宅地と工業団地も程よい距離なのかしら。」
「もちろんさ、住宅地と商業エリアの距離も、それと駅前も商業エリアとして再開発しているのは客を分散させても充分に利益が出せるとの見通し有っての事、更なる集客を考えているよ。」
「そこまで、あの町に客を集中させてしまっても良いのかしら?」
「本当は今ままでも、あのエリアの中核都市としてもっと賑わってなければならなかったのさ。
映画館すら無かったから、若者が大都会を目指してしまうのは当たり前の事だった、中核都市が元気なら周辺市町村にも少しずつ活気が戻って来ると思う。
東京の繁華街に興味を持ってる人や芸術、芸能の道に進みたいと考える人などはともかく、普通に会社で働こうと思う人にとっては、住み易い町になったと思うよ。」
「そっか、目指していた地方都市のお手本が形になってきたのね。」
「ああ、新しい地方都市の形として、これからアピールしていく事になる、新しい村を岩崎村で提案して来た様にね。
そうそう、秋山女史は歴代県知事初の出産となりそうだよ。」
「えっ、それはおめでたいわね。」
「県政に向けて組んだ七人の侍が機能してるから何の問題もないだろうと話してた。」
「市長として結婚、知事として出産というのは古い考えの人にとってはインパクト強いでしょうね、女性の働き方に対しても一石を投じる事になればいいけど。」
「県政の改革も進み始めているとはいえ、利権がらみで簡単には行かないそうだ、みどりの風が頑張って議席を増やさないといけない所なんだが国との関係も有る。」
「次の選挙で国会議員を擁立するのでしょ。」
「ああ、だが、当選した所で当分の間は何も出来ないに等しいからね、与党と連携になるのかな。
政治経済学部を設立した事によって将来の議員候補は出て来ているが、器的に小さくて、谷川レベルはさすがにいないよ。」
「あっ、谷川くんの結婚式はもうすぐだったわね。」
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