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57-政治団体 [岩崎雄太-06]

地元を良くしたいという思いで集っている連中の事、今までも市政について語り合う事が何度もあった。
彼等が政治団体設立へ向けて動いたのは自然な成り行きだったと言える。
まずは廃村復活サポートチームの運営を若手に引き継いだ。

政治団体の設立までには時間が掛かった、いや時間を掛けたと言った方が正確だ。
それは国政の場でブームに乗って議席を伸ばした党の議員が、その能力の低さを露呈したり違法行為をした例を幾つも目にして来たから安易に考えていない。
各自自分の生活の為の仕事も有る、限られた時間の中、減る睡眠時間といった事情も有った。
それでも頑張れたのは調べて行く過程で市政の問題点に色々気付けた事と仲間の存在だろう。
一方、岩崎学園大学も雄太の指示の下、彼等をどう援助して行くか検討を重ねていた。
結果、大学付属の政治研究所を設立する事に。
相談の結果、中心となって動いていた八名を研究所の所員として採用。
大学側は政治経済学部の新設に向けて準備も始める。
このタイミングで雄太は谷川淳一を彼等に紹介した。

「経営学部三年の谷川です、よろしくお願いします。」
「こちらこそ。」
「岩崎理事からお話を頂きまして市政を自分なりに調べてみました、国や県との兼ね合いが分かりくいですが、普通の会社だったら有り得ない事をしてますね。
費用対効果を考えたら、すべきではない事を平気でしている気がして、皆さんが立ち上がろうと思う気持ちが分かりました。」
「岩崎さんからは経営学部にも手伝って貰えばとアドバイスを頂いたのですが。」
「市を、会社に置き換えて再生したいと思います。
面白い案件なので、チームを組んで調査から始めます。
皆さんの事は伏せて、研究所設立が公になる前に実習として市の調査を行います。
僕たちは行政に関して素人なので、一度情報交換の場を持ちたいと思いますが如何でしょう。」
「そうか、市役所に乗り込むんだね、今は自由に使える時間が出来たから会議は問題ないが…、私達が感じてる問題を伝えると、学生達に先入観を持たせはしないだろうか。」
「ですね、初回は問題点を伏せて調査ポイントだけの指示をお願いします。
調査結果を踏まえて色々検討して行きましょう、ところで選挙は何時頃になりますか?」
「市長選は辞任とかなければ来年の九月、市議会は十一月になるかと。」
「それでは学生達に住民票を移しておくようにお願いだけはしておきます。」
「うっ、そこまで言ってくれると身が引き締まるよ。」
「僕らはここの企業や商店を伸ばす活動をしています、その過程で市政に対する不満も聞いています。
この地は僕らの実習の場ですが、実習と言えども結果を出す事を目標にしています。
この先、後輩達の事も考えた時、行政との関係は大切だと思います。
地方の再生に限った事では有りませんが産学官が手を結ばないと効率が悪くありませんか。」
「ああ、その通りだ、はは、今までの産学官の発想とは随分違うとは思うがね、経営学部や政治経済学部との連携がうまく行けば、それだけでも注目を集める事になる。
観光がメインの町だからプラスになるね。」
「はい、但し観光で得た資金を他の産業へ投資してバランスの取れた形を模索しています。」
「あっ、そうか、あ~、そこまで頭が回ってなかった、谷川君、これからも色々教えてね。」
「は、はい。」
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