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23-猿 [岩崎雄太-03]

岩崎村の農場は農機具を使い易くする事を考え、一区画を広目にとった。
土壌改良を行い、数種類の作物からスタート。
リスク分散とスーパーでの販売を視野に入れて単一作物にはしなかった。

「社長、農作物は今の所順調です、大鹿さんの指導の下研修して来た成果が出ています。」
「とは言っても、これから手作業での収穫が始まると大変なのでしょ。」
「作物によりますが、手作業による収穫は林業チームを除いた社員総出で行います、短時間でサクッと終わらせて、後は各自の作業という事なら個人の負担が少ないとなりまして。」
「それなら安心かな、どうしても機械化出来ない作業が社員の負担にならないか心配だったが。
販路は何とかなる、残る問題は…、猿か。」
「ええ、岩崎村ではまだ被害が出てませんが、結構やっかいです。」
「森は間伐をしっかりやって見通しを良くした、村も街灯を多目にし森との境界エリアは住宅地、だがその程度では。」
「猪や鹿は食材として捕獲の予定ですが、さすがに猿は…。」
「あまり景観を損ねる様な対策は取りたくないのだが。」
「ですよね。」
「一度飼ってみるか、観光も視野に入れて、餌は形の悪い作物とかで良い。
森に巨大な檻を作って、いや、動物園でも檻ではなく堀で囲まれて出られなくしていた、そうだな入ったら出られない巨大な罠という形で鹿や猪も捕まえて、そのまま飼育ってどうだろう、増え過ぎたら食材にしたり。」
「やはり猿がネックになると思いますが一度調べてみます、場所と規模はどうしますか?」
「造成が始まった集落の近くに雑木林が有る、あそこを丸ごと、地形的にも人間が見下ろせる形に出来ると思う、餌場を観察出来る所の近くにすれば良いと思うな。」
「分かりました、専門家の意見も聞いてみます。」
「猿対策も継続して調べてくれな。」
「はい。」
「ほんとは猿とも共存出来れば良いのだが。」
「離れた所で餌付けというのはどうでしょう?」
「そうだな、村に来なければ良い、それも検討して…、来週から来るインターンシップの学生にも情報を流してみよう、何か返って来るかもしれない。」
「はい、その方向で動きます。」
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