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12-面接 [岩崎雄太-02]

一通りの形が整った所で社員募集開始。
少しずつでは有るが問い合わせも来ている。
不便な環境で生活する事は隠さなかったが、隣村の古い家に住むなら家賃は無料、新たに建設する住居に入居する場合も家賃は格安、食費はしばらく一食百円で提供、といった条件提示と自然環境に惹かれた人達が一次面接を受け始めた。

「一番近いコンビニまで車で一時間半といった田舎ですが大丈夫ですか?」
「はい、この募集を見て色々考えました。
岩崎社長は本気で過疎地の再生を考えておられる、他の大金持ちは考えもしなかった事です。
だったら力になりたい、自分もチャレンジしたいと思いまして。
私が大学卒業後入った会社は…、親に体を壊す前にやめなさいと言われる様な会社だったのです。
何とかやめてアルバイトをしていますが、働く事の意味を考えていました。
ただ生活費を稼ぐ為だけの労働ですから。
山奥での新たな集団形成、当然綺麗ごとでは済まされない事も有ると思っています。
でも、今までよりは人間らしく生きられないかと。」
「大学は経済学部だったのですね、経理とか事務的な作業は大丈夫ですか?」
「ええ、他に必要なスキルが有ればすぐにでも学習を始めます、もちろん林業の現場でも、初期は住宅の修繕に人手が欲しいとの事ですから、経験値は低いですがサポートぐらいならやりますよ。」
「そう言って頂けると助かります、初期は経理事務をしながら空いた時間で住宅の修繕とかお願いしたいです。
この後は現地の見学をして頂いてから最終面接で決定となります。
現地見学の日程はこちらから選んで下さい。」
「では第一回でお願いします。」
「電車ですか? お車ですか?」
「車で行きます。」
「分かりました、ガソリン代は経済的に問題がなければ自己負担ですが、入社が確定の場合は初回の給料でお返しさせて頂きます、幾ら掛かったか報告をお願いします。」
「家族が一緒でも構わないでしょうか。」
「ええ、ご家族の方にも是非どんな所か見て頂きたいです、今後ドキュメンタリー番組で伝えて行きますが、生の方が分かり易いでしょう。」
「番組って、テレビのですか?」
「ええ、社長のお父さまの会社がスポンサーです。」
「あっ、この会社ってものすごく安定した企業になるという事で…。」
「良い人材が集まればの話ですが、優良企業になると思います。」
「それなら両親にも話がし易いです、でも、そこまでの事は募集案内になかったですよね、書いてあれば応募も増えるのではないですか?」
「楽な仕事でもないので企業名に惹かれて安易に申し込まれても困るのです。
都会とは違う生活には安定企業であっても馴染めない可能性が有りますから、それなりの覚悟を示して下さった方にのみお伝えする様にと、社長からの指示です。」
「なるほど、どんな所なのか現地見学が楽しみです。」
「後は…。」
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