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09-林業 [岩崎雄太-01]

数日後、雄太のマンション。

「伯父さんが亡くなってから親父とお爺さま、三人で飲む機会が増えてね。
先回はプロジェクトの概要を説明させて頂く程度だったが、昨日は踏み込んだ話になって、林業への投資に賛成してくれたよ。
愛華の作ってくれた資料を見て貰って、労働力が確保出来て営業が少し頑張れば、初期投資は充分回収出来ると話したら、親父から人さえ集められたら大きく出来る、大きくしたいとね。」
「そんなに需要は有るのかしら?」
「有るんだよな、愛華。」
「はい、植林地所有者の高齢化が進んでいます、彼等の中には自力で間伐を行えない人もいると思います。
そんな方に代わって林の維持管理、代金は伐採した木を売ったお金でとのモデルが可能だと思います。
管理できずに林を手放したいと考えておられる方から、格安で譲って頂くのも有りでしょう。
問題は木材価格です、国内産木材の需要が増えないと安定しないと思います。
そこで、国内産の木を使おうキャンペーンを林野庁に働きかけてみようかと。」
「勝算は有るのか?」
「原点回帰、日本の文化は木によって支えられて来たのに随分変わってしまった、少々不便でも木製品を使ってみませんかって、だめですか…。」
「愛華の思いは親父に届いたよ、コストが掛かっても木材を多く使用して行く方向で会社の流れを変えたいと話してくれた、もちろん新会社から購入してね、林野庁よりうちの関連会社へ働きかけた方が早いだろう。
お爺さまも今の日本にとって必要な会社だから、例え利益率が低くても従業員を優遇して広げるべきだとね。」
「確かに楽して大儲けという訳には行かないが、そんなバックが付いてくれたら堅実な会社を作れそうだな。」
「だろ、まずは研修を兼ねて村の森を綺麗にしながら社員のスキルを上げて行けば良い。」
「社員は集るのかなあ。」
「林業機械オペレーターを募集するだけでなく、スタッフサポーターとして食事の用意や洗濯などをしてくれる人も募集したらどうかな?」
「そうか、独身者でも掃除洗濯をしてくれる人がいればハードルが下がるわね。」
「雄太、そうなって来ると始めから大勢雇う事にならないか?」
「ああ、林業、建築、農業、家屋の解体作業、商店、スタッフサポート、村長、経理などの事務、観光企画、五十名ぐらいを目標に採用したいね。」
「作業を兼任して貰えると良いが、住居が足りないな、家族で移住も有りだろ。」
「大鹿さんには程度の悪い物件、森林も含めて、くれる人がいたら貰いますと伝えた、始めの内は皆で家の改修でから始めれば良いさ、研修と並行してね、これから共に働く仲間が力を合わせて作業する事は良い事だろ。」
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