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08-初期投資 [岩崎雄太-01]

廃村へ出かけてから十日後、四人で食事。
祐樹が。

「問題はあの土地でどうやって安定した収入を得るかだな。」
「林業はどうかしら? あそこの山の木は雄太の物なんでしょ。」
「明香、林業って大変だと思うぞ、重労働をやってくれるかな。」
「機械化すれば大丈夫なんじゃない、私が調べたところでは結構機械化が進んでいるわよ。」
「そういう機械って高いんだろ。」
「安くはないわね。」
「愛華、専門家とも連絡を取って、お勧めの林業機械を一揃い買ったら幾らになるのか見積もって貰えないか、五億も掛からないと思うが。」
「はい社長、分かりました、買う事を前提でよろしいでしょうか?」
「ああ、メンテナンスやオペレーターの養成についても情報が欲しいな。」
「はい。」
「雄太、悪くはないと思うが初期投資が嵩みすぎないか?」
「回収に時間は掛かり過ぎないと思うよ、近隣の植林地も手入れが充分出来てないみたいだからね、条件が合えば手入れを請け負う事だって有りだ。
木は切り倒してもすぐには使えないそうだから、製材所を建てるのは少し後で良いだろう。
将来良質の木工製品を作れる様に工房も、始めの内は近隣の村から材木を仕入れてでも始める、まずは村で使う物を作りながら、商品として利益の出せる物を模索して行こう。」
「農閑期の仕事になるのか、基幹産業になるかはやってみてという事ね。」
「ああ、木材価格が下がっても付加価値を付ける事に成功すればビジネスとして成り立つだろ。」
「そうだな、初期投資として建物と林業機械、当面の人件費なら…、雄太、農業機械はどうする?」
「商品作物の形が定まってからだな、しばらくは大鹿さんと相談して必要な物は買うし微妙な物は借りるか。」
「農産物も加工して付加価値を付けるという形に出来ないかしら?」
「良い考えだが、社員をあの田舎にどれだけ集められるかにもよるな、機械化したとしても。」
「社員があそこで暮らしたくなる要素がもっと欲しいな。」
「良い教育環境だったり、母子家庭に対する配慮とかどうかしら。」
「学校が遠いぞ、かと言ってあそこに公立の学校を作って貰うのは難しいだろう、人数が集まらないと行政に働きかける事すら出来ないと思うし私立学校設立となると予算的に厳しい。」
「答えが出るかどうかは分かりませんが、大鹿さんとも相談してみます、長い目で見た時子ども抜きでの再生なんて有り得ませんから。」
「そうだな、過疎地は廃校の歴史だろう、そこに新設校が誕生したら面白い、俺も、もう少し考えてみるよ、明香は過疎地の教育について調べてくれないか。」
「ええ、私達に子どもが出来た時の事も考えないとね。」
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