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03-廃村 [岩崎雄太-01]

翌週、都会から田舎へ。

「祐樹、この辺りから伯父さんの土地だな。」
「道路は思ってた程悪くないが、建物は痛みが激しいな。」
「田畑も荒れ放題ね。」
「あそこなら車、止めれそうだぞ。」

「わ~、眺めが良いわね。」
「そうだな、ここに別荘を建てるか、いやこっちが本宅でも良い。」
「ふふ、買い物は不便そうだけど、仕事はどこにいても出来るわね、愛華はどう思う?」
「良いと思うけど、明香と気楽に会えなくなるのが残念かも、社長、ここで人を養うのですか?」
「それが現実的かどうか、これから検討さ。」
「地図を見るとかなりの面積ですよね、社長の伯父さまはここをどうしようと考えておられたのでしょう?」
「どうなんだろう、はは、国でも作ろうと思ってたのかも、俺はバランスの取れた国の国王になると話してた事があって、案外、本気だったのかもしれないね。」
「でもここには一人の国民もいませんよ。」
「だよな、祐樹、一通り土地を見ておかないか。」
「ああ。」

近所の村にも立ち寄り、冬の積雪量やここでの暮らしぶりを聞いて回った後はホテルへ。
そこの露天風呂で。

「祐樹、村の年寄りは親切に応じてくれたな、いずれ自分達の村も消滅するだろうと寂し気だったが。」
「限界集落なのかも、過疎地の現状を目の当たりにした、確かにバランス悪いよな。
雄太、サラリーマンの子が農業をやってみたいと思った時ネックになる事は何だと思う?」
「そりゃ、農地だろう、農家を継ぎたがらない子がいたり、やってみたくても土地がなくてハードルの高い人もいるだろうな。」
「まずは住居を用意して農業にチャレンジしたい人を募集してみるか?」
「そうだな、本業の方は順調だから…、漠然と人を養うと考えていたが社員として雇うか?」
「それだと費用が掛かって何人も雇えないぞ、収益が見込めないだろ。」
「それでも、安心して暮らして貰った方が良くないか、収益は…、ここで収益を得られる様色々試してみれば良いだろう、単に農業だけでなく観光とか製造業も視野に入れてさ。」
「う~ん、まずは村の再建を体験かな、体験形観光、仕事としてだと嫌な事でも体験として無理の無い範囲なら可能かも。」
「社員の宿舎は必要だな、叔父さんの会社に相談してみよう。
俺達の別荘を建てるにしても通いでは作業員も大変だろうな…。」
「別荘は本気だったのか、明香も喜ぶだろうな。」
「お前は嬉しくないのか?」
「えっ? 俺達の別荘って、俺も入ってるのか?」
「当たり前だろ、それぐらいは別の財布から出せるさ、土地は有るから大して掛からないだろ。
別荘にするか本宅にするかは愛華と相談したら良い。」
「別荘はともかく、宿舎の規模が決めにくいな。」
「準備時間が掛かりそうだ、村長も雇わないとな。」
「村長って勝手に雇う物でもなかろうが、行政的には正式な村長もいるだろ。」
「だろうな、でも、将来的には俺達の関係者から村長選に出馬が有っても良いかも。」
「何となく雄太の描いてる形は見えて来たよ、俺なりに計画をまとめてみるよ、初期投資は十億ぐらいで良いか?」
「そうだな、別荘の方は二軒で二億ぐらいか?」
「そんなにはいらんだろうが、明香とも相談してみるかな。」
「ああ、頼むよ。」
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