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120-王国 [キング-12]

私達はまた旅立とうとしている。
とてつもなく広大で不毛な宇宙に生物の住める星を増やして行く、マリアが私達に与えた使命だ。
そこに平和な人間社会を築き上げて行く。
一つ目の惑星は良い形になりつつある。
城の子達は旅立ちを前に国民へのプレゼントとして、大きな滝、綺麗な渓谷、謎の巨石群といった観光地を色々作った。
それに国民が気づくまでには、まだ年月が掛かるだろうが、旅を楽しいものにするだろう。
二つ目の第五惑星も随分安定して来ていて尊は国民にゲートでの行き来を許した。
第五惑星のゲート一帯は花畑だ、国民はきっと気に入ってくれると思う。
この先、移住を考える者が出て来るかもしれない。
いや、フロンティアスピリットを無くして貰っては困る。
どちらの惑星も開拓者なくして繁栄はない。
そして、自分達に与えられた国土の広さを実感する事になるだろう。
王国は戦争をする事無くその領土を拡大して行くが、幾つもの惑星に進出しても一つの国で有って欲しいと思う。
分裂し戦うのが人間の性であったら悲しいではないか。
そうならない教育は試みて来たが、過去の歴史を考えると不安では有る。
争いの歴史は人間の本能的なものなのだろうか。
生まれたばかりの王国で暮らすのに努力は必要ない、食料は豊富に有る。
ただ大人達の頭には、もっと科学の進んだ生活の記憶が残っている。
それは第二世代へ伝えられ一部は復活された。
第二世代、第三世代は科学技術の発展を目指すだろうか。
戦争が科学を進歩させた側面もある。
平和故に進歩が遅いという可能性は否定できまい。

今回の旅は彼等にとって十六年間の王家不在となる。
その後の旅では、もっと長期間留守する事になっていくだろう。
それでも王家は彼等を見守り続ける。
もし彼等が誤った道を辿ろうとしたら修正も出来る。
惑星を一つ人の住めない状態にしてしまった人類が、同じ道を歩まぬように導く事もまた王家の使命なのだから。

尊が呼んでいる、時間の様だ。
また、不毛の惑星に向けて旅立つ私達が帰還した時、この惑星がどうなっているか楽しみである。
王国のこれから歴史が素敵なものになる事を祈っていよう。
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