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109-ゴールド [キング-11]

城の子ども達が考えている経済システムで問題になるのは金の流れだ。
労働者に支払われるのは国からの金。

「税金の形で回収すると言っても、そのシステムも大変よね。」
「国民が扱えるコンピューターネットワークが完成したらそっちで管理したいけど。」
「何年後かな…。」
「不正が有るかもって事だろ、でも今はそんなに気にする必要はないと思う、お金が動く場所は限られるから、下手するとお金の使い道に困るかもしれない。」
「お金を得る為に頑張るという環境を作りたいんだよな、でも国民の手間は確実に増える。」
「手間に見合うだけの価値を見出して下さるのかしら。」
「お金を使って手に入れる事の出来る商品やサービスは一か所に集めるってどうかな、それとお金は、商品を作った人にではなく、そのまま国に返って来るというシステム。」
「そうかあくまでも国営という形か、お金が特殊な物を製造している個人に集まってしまえば、貧富の差に繋がる、特殊技能をお持ちの方には少し多目の対価が支払われる事にすれば良いのか。」
「お金を使う場としてはコンサートとかも良いと思わない?」
「これは始めてみるしかないと思う、昔の世界も物の価値は変動していたと聞いたからな。」
「ひとまず、何に対してお金がどれだけ支払われるか決めてみよう、後でどんどん変更して行く前提で。」

この世界に来てから金を必要としてなかった大人達は、城の子の提案を受け入れた。
子ども達がより上を目指す社会を考えての事だ。
通貨に金貨を使う案も出たが、翔が中心になって決済シムテムを構築した。
あえて個人の収支が他人にも分かる様にしたのは競争心を高めるという最大の目的を強化する為だ。
このシステムを地球の技術で置き換えられるまでに何年掛かるのかという問題も有ったが、利便性を考えての事。
紙幣や貨幣を作る必要もなく、システム上の数字だけで済む。
基本は一時間の労働で一ゴールド、労働内容などにより加算、という形になった。
商品価格は高めに設定されたが受給バランスによって落ち着いていくだろう。

「今後貧富の差を生むとすればゲームやコンテスト、コンクールの賞金と特殊な技能、大人達から聞く所の貧困は今の体制を維持できれば考える必要はないと思うな。」
「大人はともかく子ども達は理解してくれたか?」
「まあ、時間が掛かっても良いでしょ。」
「そうだね、明日の労働からゴールドの支給開始、ゴールドで手に入る物やサービスは告知したけど反応はどう?」
「夢のコンサートが人気みたい、今まで抽選だった商品、順番待ちだったレストランでの食事がゴールドを必要とする形に変わる事に抵抗はないみたい、それよりゲームやコンクール、コンテストをもっと増やして欲しいとの声が結構出てるわよ。」
「国民に出まわるゴールドと、そのゴールドを使う機会のバランスに気をつけないとね。」
「何、簡単さ、僕らと触れ合える機会を有料で作れば、ゴールドはすぐ回収できるさ。」
「でも、私達抜きで回る様にしないとだめでしょ。」
「いずれはそうして行かないとね、でも今は良いでしょ、問題は百年後にこのシステムがどうなってるかだよ。」
「そうだった、月日の流れと共に変わって行くのだろうね、良くなって行けば良いけど悪くなって行く可能性も、人の心の変化まで予測できないよな。」
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