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106-反応 [キング-11]

尊の演説後、城の住人総出で国民の様子を探ったのは、尊の話に対する反応が読み切れなかったからだ。
新しい町にも隠しカメラは付けて有る。

「皆さん活発に意見交換してるわね。」
「はは八人だけの存在という私達に同情の声も有るが、そんな感じじゃないよな…、一般国民とは今まで通りの付き合いは難しくなるのかな。」
「マリアさまのテクノロジーがなくなって行く事への不安は大きいみたいね、でも子ども達は自分達の役割を受け入れてくれそうだわ。」
「ロックおじさん、簡単に現時点での国民感情をまとめたデータを送りますね。」
「ああ、昇、有難う…、これは…、戸惑いながらも受け入れると判断すれば良いのか。」
「結果からの推測としては、戸惑っている人達も冷静に受け止めた人達が良い方向に導いてくれると思っています、もちろん全員とは行かないでしょうが、悲観的なレベルではないと思います。」
「あっ、数学で上位に入った人達が集まって…、このグループに問題は無さそうだわ、自分達の力で科学を発展させる事の意味を語り始めた人もいるわよ。」
「作業時間が長くなるとか、労働力の不足を心配してる人もいるが、これは移行に時間を掛けるとの話を聴いてなかったのだろうな。
あっ、ちゃんと説明してくれる人が現れたぞ…、広大な土地を使って大胆な作業が可能だからとか、マリアさまのテクノロジーが使える内にしっかり開発を進めておくとか。」
「自力で船を作って惑星の裏まで行ってみたいなんて人もいるよ。」
「これなら大丈夫じゃないか、今後プロジェクトをスタートさせると共にゲームを色々なバリエーションで展開、コンクール形式でも国民の皆さんからアイデアを出して貰う、目標が有れば生きがいを感じるというものだ。」

その後国民の間からは、プロジェクトへの参加を希望する者、ゲームを企画したいという者も現れた。
時間経過と共に尊の演説内容は国民の中で消化された様だ、全国民が町の住宅街で暮らす様になり、広がりはじめた畑が、この地を自分達の星で有ると感じさせているのだろう。
何時までも城の子ども達に頼っていてはいけないと話す者もいる。

「食料生産をコロニーに頼らなくするまでには時間が掛かりそうね。」
「それでも、大胆農法が成功すればペースは上がるんじゃないか。」
「国民は広大な土地を上手く受け入れたよな、豚の餌となる作物を必要以上に育てて、と言っても種を蒔いたらほったらかし、餌が育ったらそこへ豚を入れる、豚は畑を荒らすが如く食事をし糞を、餌が減ったら豚は別のエリアへ、荒らされた畑は耕して次の作物、豚の糞が肥料になって前回よりは収穫量が増える、エリアの真ん中には小川が流れているから水浴びもOK、水浴びで汚れた水は海のプランクトンを増やす事に繋がる。」
「でもそんな野生に近い豚の肉質はどうなんだ?」
「まだ、結果は出てないが、少なくとも土地の改良には繋がるだろ。」
「余裕の有る作物はとにかく大胆に畑を広げているのよね、害虫の心配がというより害虫が増えても問題ないだけの収穫量にして、虫を放し、その虫を食べる鳥の繁殖も考え始めてくれたわ。」
「多様な生物の住む星にという声は多くの国民から出てるわね。」
「私も、人間とその食料しか存在しない世界って嫌だわ。」
「ノアの箱舟か…。」
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