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86-訪問 [キング-09]

言葉が通じない相手に、記憶が蘇る過程をどう説明するか、悩んだ末に翔はショートドラマ仕立てで何本もの映像を用意する事にした。
台本は大人達が経験を元に書き、演技は各国の有志による。
言語は彼等にとって耳慣れない共通語、言葉では伝わらないというハンディが有るが俳優達は熱演してくれた。

「なぜこんなドラマを見せているのか分かってくれれば良いけど、愛、どうだろう。」
「ただの娯楽番組を見せてるとは普通考えないわよ、翔、それよりモニター越しでない生の巴に向こうの大人達がどう反応するか興味が有るわ、香が子ども達を引き付ける力の強さは、もう疑いようが無いけど、大人は事情が違うと思うの、この世界では私達が特別な存在だと知られている、でも彼等は知らない、その状況で巴にどんな態度をとるかによって今後の作業が随分違って来ると思うわ。」
「確かにそうだ、何とか最後のコロニーまで半年以内に終わらせたいよな。」
「あらっ、尊からだわ。」
『愛、翔、予定通りに行くよ、訪問の最終調整に入って貰えるか。』
「分かった、リハーサルは何度もして有る、ゲートの部屋まですぐ行くよ。」

今回のゲートは城下町の一軒家に接続して有る、そこに関係者が集合した。
先方の子ども達は香達に会えるのが嬉しくて、コンタクトを取り始めてからこちらで過ごす時間が長い、今も楽しそうだ。

「護衛、しっかり頼むな。」
「はいキング、任せて下さい。」
「静子さんは小柄で可愛いから、相手に余計なプレッシャーを与えないと思っています。」
「はは、尊さまったら。」
「おい、静子、浮かれるなよ。」
「分かってるわよ、相手にプレッシャーを与え過ぎそうな親衛隊長の出番が無いように気を付けるわ。」
「映像で常に確認しているが、いざという時は先頭で入る静子に掛かっているからな。」
「そんなに心配しなくて大丈夫だよ、じゃあ皆行くよ。」
「尊さま! 私の後ろに!」

先頭に静子、尊と巴、後ろに五人の護衛を従えゲートを越える。
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