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85-コンタクト [キング-09]

コロニーとのコンタクトに向けて準備が整った。
作戦開始の時は世界中の人が注目、翔が情報映像を流してきたからだ。
直接係わらない者にとっては良い娯楽になるのだろうが、映像を通してこれから仲間が増えて行くと実感して欲しい。
城の大人達は非常時に備え待機しつつ子ども達を見守っている。

「一つ目のアクションは先方にモニターを届ける事だけど。」
「まずは、いきなり現れたゲートにご注目有れという予定だが、さあどうだ。」
「普通に慌ててるけど、大人六人子ども七人、全員集まって来たわね、先方の管理者はコンタクトをやめて久しいそうだから、突然のイベントにはビックリでしょうね。」
「モニターを背負ってうさぎがゲートを越えたな。」
「しかし、どうしてうさぎなんだ?」
「犬が吠えたら子どもが怯える、猫が引掻いたら、機械仕掛けより生物の方が警戒されにくいとか考えたそうだけど、首のヒモをどう判断するかね。」
「おっ、モニターを手にしてくれたぞ。」
「翔が編集した映像を不思議そうに見てるわね、過去にはテレビを見てたでしょうに。」
「まあ、久しぶりで記憶の整理をしてるんじゃないか、知らない言葉だし。」
「子どもが二人うさぎに注目してない?」
「大人達がモニターに気を取られてる間に子どもをって…、こんな釣り上げるみたいな感覚を尊達が好きになって欲しくないわね。」
「だな、でも今は作戦の成功を祈ろうか。」
「ゲートから奥の手の子犬か、良いタイミングだ。」
「はい、お子様二人…、じゃなく五人一気にゲットか、残る二人は大人に抱かれてるから、第一段階は成功ね。」
「五人の子ども達は香達とご対面か。」
「翔の作った映像はなかなかだな、言語の問題は有るが向こうに伝わってるみたいだ。」
「そうね、でも子ども達がいなくなった事に気付いたみたいよ。」
「メイン画面が子ども達の映像に切り替わった、良いタイミングだ。」
「ここで誘拐と思われたらやっかいよね。」
「今回の作戦、一つ目の大きな山だな。」
「お菓子を喜んで食べてる、望の身振り手振りは通じてる様ね、カメラに向かって手を振ってくれた。」
「大きい子二人にミッションの説明を始めたな、どうだ…。」

「親に上げるお菓子を持ってゲートを越えてくれたわね。」
「さて次の画像にはどう反応する?」
「おいしそうな食材を揃えさせて頂きましたよ。」
「ちゃんと子どもが説明してるな、サブ画面の調整も翔がやってるのか。」
「あの子にとっては簡単な事でしょう。」
「子ども達がゲートを越えたわ、大人は通れずがっかりみたいね。」
「今度は指定された食材を届けて貰う訳ね、選んで貰った食材から差し入れのメニューを検討だけど。」
「映像での説明がうまく行って欲しいわね、共通語に早く馴染んで頂かないと、この後八つの言語が翻訳機に加わる、それ以上にこの世界に言語が増えたら大変だわ。」

コンタクトは先方の素直な子ども達のおかげで順調に進んでいる。
まずはモニターを通してこちらの暮らしぶりを紹介しつつ、尊と巴がプリンス、プリンセスと分かる様に、まあ二人が国民の間を歩く映像を見れば一目瞭然だろうが。
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