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84-スケジュール [キング-09]

新たなコロニーの受け入れ作業は余裕が有るのかどうか微妙な状況だ。
単独の居住コロニーが六十七、子どもの人数が二十名に満たない国が八カ国。
七歳に近い子はいないので時間的な余裕は有るとはいえ、先回の様な孤児を生み出す様な事態は避けたい。
これからの受け入れ作業はその規模も状況も我々にとって大きな試練となるだろう。
試練に先立って、マリアは各コロニーの監視カメラ映像を見れる様にしてくれた。
それを元にコンタクトの優先順位を決めている。

「子ども達の作ったスケジュールはどうだ?」
「妥当な所ね、映像からの判断で環境の悪い所を優先だけど、まずは二つの楽そうなコロニーで手順を確認してから、国の方は今までの経験を生かして、テレビ電話を介してのコンタクトは八カ国同時にスタート、各国のリーダー達と協力して行けば大丈夫でしょう。」
「国の方は大人の数が今までの国よりかなり少ない、サンフランシスコの時よりは楽そうだな。」
「それでも八回続くのだから急ぐと国民の負担も大きくなる、並行して単独居住コロニーにも対応しなくてはならないしね。」
「問題は言語だな、国家を形成出来た連中には翻訳機が対応してくれそうだが、単独コロニーは難しそうだ、子ども達にコンタクトを任せるしかないのか…、先回と違って大人相手だ、難しくないか?」
「あっ、キングからだ。」
『セブン、一花、ロック、試験的に一つの単独コロニーとコンタクトを取ってみようと思う、集まってくれるか?』
「分かった、すぐ行くよ。」

城の十六人が集まった。

「今回の問題点は向こうに端末どころかテレビ電話さえも存在しないという事と言葉が通じないという事だ、愛が映像から言語の解析を進めてくれてはいるが、相手は大人だ先回の様には行かないと思う、そこで今回の作戦だ、尊から説明して貰う。」
「はい、今回一番重要になるのはファーストコンタクトです、向こうの大人がこちらの人と対面してしまうと記憶の蘇りが何の予備知識もないまま始まってしまいます、出来れば時間を掛けて準備したいのですが、時間を掛けていては残ってるコロニーを長期間放置する事になってしまいます。
今回は翔中心に作成して貰ってる映像を三日間見て貰ったら、会いに行こうと考えています。
その第一段階として、まずモニターをうさぎに括りつけてゲートを越えさせようと考えています。
そのモニターを通して相手の言語を解析する事も可能ですが、単独居住コロニーに関しては共通語を覚えて貰おうと考えています。
向こうの子ども達にはゲートを行き来して貰って、こちらの安全性や豊かさをアピールして貰います。
今回の記録映像は編集して次回以降、教育用映像として活用します。
向こうへは、僕と巴で護衛には各国から六人にお願いしようと思っています。」
「確かに相手の大人は六人だから護衛の数は多過ぎず良いかもしれないが、尊と巴は充分安全が確保されてからの方が良くないか。」
「護衛も必要ないと思っていますが、念のためです。」
「巴は大丈夫なのか。」
「はい、お兄さまと一緒ですから。」
「尊、我々大人の役割は?」
「まず作戦全体を細部まで検討して行く手伝いをお願いします、実行は極力僕らで進めます、大人は八カ国との交渉に力を注いで欲しいと考えています。」
「お前たちに無理はさせたくないが、彼等の映像を見せられてはな、細かい打ち合わせを始めるか。」
「はい。」

子どもを含めての事、安全に留意し十六人で一つずつ解決して経験を深め成長の糧としたいのが本音だ。
麗子は二人の子を未知のコロニーへ行かせる事に反対したが、不安な生活を送っている千人以上の人達が一刻も早く平穏な暮らしを送れる様にとの、子ども達の思いを聞いては妥協せざるを得なかった。
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