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83-プリンス [キング-09]

五人の新しい友達は世界中の子に歓迎された。
もちろん、尊達の働きかけ有っての事だ。

「あの子達も共通語に馴染んできたわね。」
「そりゃま、子ども同士で遊ぶ時は共通語になるからな。」
「いきなり大勢の子と出会うのは大変だろうと、少しずつ引き合わせて来たが問題は有りそうか?」
「今の所は大丈夫、でも、ずっと見守っていて上げないとね。」
「孤児という事を考えて何人かが育ての親を名乗り出てくれてる、城の子達はまだ結論を出せていないみたいだけど。」
「答えが一つじゃないから難しいって言ってたな、でも早く落ち着かせたいとも話してくれたから我々は様子見で良いだろう。」
「いや、状況が少し変わった。」
「キング、何か有ったのか?」
「先ほどマリアと話をしたのだが…、城の大人も八人の子ども達も全員一緒の方が良い、すぐ呼べるか?」
「ちょっと待って。」

ほどなくして十六人が集合した。

「忙しい所すまない、マリアから今後についての相談が有った。
まず、マリア達は先日孤児達と出会った様なコロニーをまだ幾つも持っているそうだ。
この世界の一員となる要件を満たしていない国もだ。
だが、長子が七歳になるまでに私達の世界と繋ぐという条件も定められているという。
という事でこれから子どもが増える、ただ、大人に関してはこちらで決めて欲しいとの事だ。
和の国へ子どもだけ移動か、親も一緒に居住コロニーをここへ接続かどちらでも良いと言われた、ただ大人も一緒だとかなり人口が増える事になるそうだ。」
「子どもだけでは可哀そうだわ、あの子達も口には出さないけど、親子でいる人達を見て寂しそうだもの。」
「望の言う通りだよ、人口が増えても大丈夫さ、今までの余剰生産分が減っても食べてる人は同じだと思う、マリアさまが送った先で食べてるか、ここで食べてるかという事でしょ。」
「人道的見地から考えても、翔に反対できないな。」
「聡達が早く六歳になってくれないかしら、急に人が増えたら大変そうじゃない?」
「はは、そいつは流石に無理だろう、でももうすぐ五歳だ、お手伝いはしてくれるんじゃないのか。」
「うん、そうね。」
「この先のスケジュールはこちらの都合に合わせてくれるそうだ、その管理をマリアは誠にお願いしたいと話してたのだが頼めるか、誠。」
「うん…、じゃなかった、はい。」
「この事はもちろん国連の場でも相談するが、このメンバーが中心にならざるを得ないだろう。」
「これから出会う子ども達の面倒は望と香中心にお願いしたいが、良いかな。」
「はい。」
「もちろん皆でカバーするからな。」
「なら私は調整役になるわ、誠が動き易い様に。」
「愛がそっちを担当してくれるなら、僕はコロニーの環境改善を、昇、手伝ってくれるか。」
「うん、兄ちゃん、がんばるよ。」
「巴は僕と大人の相手をしよう、大丈夫か。」
「はい、お兄さま。」
「尊、巴の能力を考えての事か?」
「はい、サンフランシスコの時も彼等の緊張をほぐす手伝いを僕らで出来ていたと思います、巴が加わってくれたら作業が早くなると思います。」
「大人相手が一番大変だからな、二人にはこの際プリンス、プリンセスという称号を授けても良くないか、肩書を有難がる輩には効果的だろ。」
「二人だけというのは嫌です、僕ら八人…、いえ夢や聡達僕らの妹、弟全員、同じ様にして欲しいです。」
「神の子という名称はこの世界では当たり前になっている、だがこれから出会う人達にとっては、すぐには馴染めないだろう、う~ん…、八人とも貴族階級の子弟という事にするか?」
「そうね、国連メンバーとも相談してその方向で良いと思うわ、この世界は私達の知ってる民主主義とは違う物だから。」
「城の子に限っては反発もないだろう、ほかの国のリーダーが真似したら顰蹙を買うだろうがね。」
「特権階級として私達の存在も強調するのか?」
「新たに出会う大人達に向けてと話せば反発する人はそんなにいないと思うわ。」
「貴族となって特権を振りかざしたい訳じゃないが、この世界は民主主義とは違う、国民がどういった反応を示すか興味は有るな、絶対王政だって王が国民の幸せを真に願っていたら違ったものになっていたと思うし。」
「翔はどう思う? キングの息子だから尊はプリンスという事になるけど。」
「何か問題が有るのですか? 尊は僕らのリーダーですよ、城の子皆でこの世界を守って行くその代表です、僕らにはそれぞれ役割が有り、尊は最終判断を担当して貰ってます、今まで尊の判断は間違っていません。」
「そんな風に考えていたとはね、これからはもっと真面目な話をする機会を増やさないといけないわね。」

確かにそうだ、彼等の本心は、その天才性故に聞きにくくなっていたと思う。
これから共に世界の為に働く過程で、また違った親子関係が構築されるのかもしれない。
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