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79-能力 [キング-08]

翔が八歳の誕生日を迎えた頃から弟達もマリアの指導を直接受ける様になった。
城の子は特別な存在として神の子と呼ばれている。
マリア達のテクノロジーを駆使して子ども達が工作の時間に作る作品は、数などの制約は有ったものの大人達をずいぶん喜ばせた。
彼等はそれと引き換えに各国の大人達から過去の世界についての話を聞かせて貰っている。
チェスや将棋といったゲームも教えて貰ったが、そっちはすぐに飽きてしまった様だ。
大人と勝負しても簡単に勝ってしまい、城の子同士だと勝負がつかなかったからだ。
それでも他の子ども達にルールを教えたりはしていた。
他の遊びも、自分達が遊ぶというより他の子達の遊びを演出、そう楽しませる側にいる。

「翔、今度の工作は何なの?」
「動画撮影用のカメラだよ。」
「使い道は?」
「昔テレビってのが有ったのでしょ、そんなのを始めようと思うんだ、端末でも撮影出来るけど使える人が限られるから、誰でも撮影出来る様にね。」
「放送はテレビ電話のモニターを使うの?」
「初めの内はね、でもモニターは簡単だから専用のを作るよ。」
「どんな番組が見れるのかしら?」
「望が中心になって考えてる、簡単なのは音楽村の演奏だけど色々有った方が楽しいでしょ、データベースを構築して選べる様にするからね。」
「それは楽しみだわ、昇もちゃんとやってる?」
「大丈夫だよ、昇は僕らの中で一番工作が得意かもしれない。」
「へ~、あなたたち皆同じぐらい何でも出来ると思ってたけど、得意な事とか有るんだ、まあ性格が違うから当たり前なのかしら。」
「う~ん、そうだね最初の四人は何でも出来ちゃうタイプ、昇、香、誠、巴は得意な事が有る代わりに苦手な事が有るかな、でも苦手でもやれない訳じゃないんだ。」
「他の子達は何が得意なの?」
「香はちっちゃい子の相手、巴は大人の相手、誠はプログラム管理、香と巴は分かり易いから、ちょっと見て上げて。」
「分かったわ。」

一花から話を聞いて私達は改めて子ども達の観察を始めた。

「香が近づくだけでぐずってた子がにこにこし始めるのか、尊達も小さい子の相手は得意だと思っていたがここまでではなかったな。」
「香は特に何もしてない様に見えるが。」
「目じゃない?」
「そうか、アイコンタクトだけで…。」
「こっちのモニター見てみろよ、巴が城下町を歩いてるが。」
「城の子を見かけると皆さん何時も嬉しそうだけど、ちょっとレベルが違うかな、ルックスだけなら八人ともタイプが違うとはいえ皆可愛いのにな。」
「これは能力なのか?」
「翔は、得意な事って言ってたけど。」
「これで大人になったらどうなるんだ?」
「楽しみな様な怖い様な。」
「すっかり神の子として…、平八なんか拝んでるぞ。」
「これはこれで平和だから良いだろう。」

今までも子ども達は各国の人達と良好な関係を築いていた、今までそれを特殊な能力によるものとは考えていなかった。
だが、神の子達は私達が思っていた以上の特別な能力を持っている様だ。
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