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39-宗教 [キング-04]

二丁目住人の謎に関してはすぐに一つが判明した。
布教活動を始めたのだ。

「宗教とは思いもしなかったな。」
「ああ、でも不思議ではないな、心の拠り所という側面が有るだろ。」
「クリスマスを楽しんで、正月には神社へ初詣、お爺さまのお葬式はお寺だったけど、特に信仰心はなかったわ。」
「私は唯物論者だったから初詣にも行かなかった、人混みも嫌だったが。」
「念のため各自の宗教観を教え合っておいた方が良さそうだな。」
「私は麗子と同じ、イベントだけ参加って感じかな。」
「俺もだ、同じじゃないのは唯物論者のキングと…、三郎は?」
「ああ、皆とそんなに違う訳ではないのだが、宗教について考察した事が有る。」
「とりあえず宗教を原因としたトラブルはこの八人とは無縁の様だな、三郎の考察を聞いておきたいと思うが。」
「簡単にまとめると、宗教が人類にもたらして来た良い面としては、セブンも口にした心の拠り所という事が有ると思う、人間誰しも死を迎える、死を不安に思うのは本能的な事だと思うが、死後の世界を経験した者はこの世には存在しない、そんな死でも宗教の都合によって作られた死後の世界を尤もらしく説かれれば信じて心の安らぎに繋げてもおかしくはないだろ。
そして道徳心の向上だね、社会にとって良い行いをする事が、良い来世に繋がると多くの宗教が説いていると思う。
だが、宗教が私利私欲の人によって曲げられ利用されて来たのも事実だろう。
キリスト教、仏教、イスラム教等がそれぞれ多くの宗派を持っているのが一つの例だ、つまり自分の都合によって解釈を変えて来た訳だ。
それぞれ根本の教えはすばらしいものだったろうがね。
まあ、長い話になりかねないので、二丁目の問題に戻すと、問題点は布教活動を始めた二人が違う宗教を信じているという事だ。
彼女達の布教活動がすぐ大きな障害になることは無いと思う、キング程の説得力を持ち合わせていないし、昔属していた宗教団体内でもリーダー的立場にはなかった人達だろう。
ただ、この先二つの異なる宗教によって国民が対立する事は避けたいと思う。
今は早く天に召されたいと考えない限り大きな争いにはならない状況だが、子ども達はどうだろう。
親に洗脳されて科学的な論理的思考を阻害され、自分と違った思想に対して攻撃的になる可能性は否定できないと思う。
そしてもう一つ…、こちらの方が厄介なのだが、スコットランドだけでなくこれから出会うであろう国の人達は、それぞれ違った宗教を信仰しているであろうという事だ。」
「宗教が原因で戦争にもなったな。」
「まあ、宗教の違いは口実だったのかもしれないが。」
「結構大きな問題だ、考える時間が必要だと思う。」
「だな、とりあえず明日の夜まで考えてみるか。」

二丁目住人による布教活動がなかったら他国の宗教まで目が行かなかったかもしれない。
宗教の違いによる対立をこの世界で起こしてはならない、仲間達の顔はそう語っていた。
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