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35-貿易 [キング-04]

外交団来訪の日、予定時間通りに八人の隣人たちがゲートから現れた。
まずは車で島を案内、その後、城の大広間での歓迎会。
麗子が中心になって用意した食事と音楽村メンバーの演奏でもてなす。
彼等は五時間ほど滞在した。
その夜。

「革製品のお土産は嬉しかったわね。」
「作り方を教えて貰うか物々交換という事だな。」
「車に驚いてたな、ジョージは車を管理者にお願いする事など考えもしなかったそうだ。」
「その代わりの馬ってのは悪くないと思う、本当の自給自足に近いだろ、誰か乗馬の経験有る?」
「私はちょっとだけ、でも三丁目の連中なら喜んで乗り回しそうじゃない、うちでもマリアさまにお願いして出して貰おうよ、キング。」
「いや、スコットランドで手に入る物はもう出さないと言われた、ちなみにマリア達のテクノロジーを使った産物もこれからは提供されないそうだ、自給自足のレベルが上がったという事だ。」
「そっか…、でも木曽馬とか指定したらどうかしら、種の保存とかを理由にして。」
「それは試してみる価値が有るな、今度コンタクトが取れた時に頼んでみよう、ただ物に関してマリアを頼る事は少しずつ出来なくなって行くと思う、今回蘇った記憶から頼んだ物はほとんど断られているからな。」
「いよいよ本格的な自給自足になって行く訳か。」
「代わりに貿易が始まるのね。」
「スコットランドから革製品や馬を輸入するとしたら、こちらからは何が出せるかな。」
「美味しい料理と音楽村メンバーの演奏、最高の料理人も音楽家も向こうには居ないそうだ、演劇の集団は居るそうだがね。」
「交流出来る国が増えれば文化面が充実して行くという事かしら。」
「その可能性は有るね。」
「物と物、もしくはサービスと物との交換を考えると、交換のレートをどうするかが問題になるわね、今は物に余裕が有るから気にならないけど、先々を考えたら何らかの基準が必要にならないかしら。」
「労働時間を基準ってどうかな、細かく計算すると難しくなるけど。」

今の体制ならスコッランドの住人全員を養う事も可能だ、マリアがどこかへ持って行く分が少し減るだけで。
だが将来を見据えて、そう、私達は人口が増えた時の事を考えて討論している。
スコットランドと良い関係を築き上げ協力して行ければと思う。
もちろん争い事は問題外だ。
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